第13話のらねこ お岩のおかあさん? 灰色ねこ
その時だった、のらねこ お岩と〝お岩に〟、
ふたりの前を、なにかが、さっと横切った。
時にかける少女? いや、灰色の小さい なにかが落ち葉の山の上に倒れこんだ。灰色ねこだ。他のねこを見ても ふだん
のらねこ お岩がときめくことはない。
けれど この時は ちがって、
なにか心に浮かぶものがあった。
ーわて、わかる。おかあさんを見たことないけど、直感で知っている。わて 白黒のおにぎり模様だけど。灰色ねこ。
あれは きっと わてのおかあさん。
おかあさん!
のらねこ お岩は たまらず灰色ねこへと駆け寄る。けれども、その勢いとは逆に、
のらねこ お岩は弱々しく泣きはじめた。
「おかあさんは わてを見捨てたのじゃなかったんだね。だから、わてのこと、離れたとこから見守ってくれていたんでしょ。
‥なのに。それなのに。
やっと であえたのに、おかあさんは動かない。おかあさん、おかあさん‥
おもちゃなら電池をかえたら また動くのに。いまの
落ち葉の上、傷つき弱り倒れる灰色ねこを前に、泣きじゃくる のらねこ お岩は、まるで、母親の身の上に かなしいことが起きたことだけは わかる人間の幼児の姿に似ていた。だんだん静かになった、それでも、
のらねこ お岩の声にならない
心の泣き声が聞こえてくるようだった。
〝お岩に〟は胸がちぎれそうだった。
〝お岩に〟は つらくも助けを呼びにいった、しかし すぐに戻ってきてしまった。
「道を歩いてるひとがいない‥どうしよう。」
どうしよう。あわてる〝お岩に〟だったが、
ふと 落ち葉の山を見ると。灰色ねこが、いない。
のらねこ お岩には灰色ねこの行き先に
心当たりがあるらしい、すれちがう時、
どんと、〝お岩に〟と ぶつかったのに、
振り返ることもなく、外の世界に1歩 踏みだそうとする。
その うしろ姿を〝お岩に〟は心配そうに見る。
「お岩。のらねこ お岩。どこへ行くの。」
おかあさんを想うばかりで心を閉ざした
今の のらねこ お岩には、
〝お岩に〟の その声も届かない。
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