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「鴇矢さん?」

「野口くん。それに、村瀬君。二人に見て貰いたいものがあるの!」

 遥は、大きく深呼吸をすると一回すると上着のポケットから、一枚のメモ用紙が取り出し、二人に見せる。

「!」

 遥から見せられたメモを見る野口と村瀬。

 ※二人が見ているメモ用紙に書かれている言葉↓

<私の愛する人は、いつも私の前からいなくなる。だけど、私は、それを止めることはできない。だって、全ての元凶は私だから>

「このメモ? どこで? ってか? どうして、鳴海坂昴が貴女の秘密を? 話したんですか? 彼に?」

 メモに書かれている犯した罪とは、12年前。実の母である海月梓を自らの手で殺害した事。

 そう、この罪から全てが始まった。

 私が、12年前、海月梓を殺さなければ、彼らの大切な人を奪うこともなかった。

 全て……

「……」

「遥さん?」

「あぁ!」

「大丈夫ですか?」

 野口が、遥に向かってここにきた時、優しく対応してくれた女性従業員(七橋來未さん)と店長の樹怜が用意してくれたペットボトル(水)を差し出す。

 遥は、野口から渡されたペットボトル(水)の蓋を開け、ひと口、口に含む。

「ありがとう。はぁ……昴くんには、私の過去どころか、彼とは、今日、ここで初めて会ったの? 渚くんからの紹介で」

「えっ? 鴇矢さんも渚くんと知り合いなんですか?」

「鴇矢さんもってことは、野口くんたちも? 渚くんも知り合いなの? あぁ!」

 遥の頭の中に、昴の例の言葉がが浮かんできた。

『皆さんが知り合いのは、渚から訊いて知っています。そして、野口さんと村瀬さん。お二人が探偵なのもをあいつから訊いて知っています』

「まさか、渚くんがいきなり私に電話で、昴くんと一緒に、野口たちの事を監視して欲しいって頼んできたのは、」 

「……あなた方、裏社会の人間と完全に縁を切る為です」

「!」

 いつの間にか姿を現していた昴に、3人は驚きの声をあげる。

 そんな3人に向かって、昴は、天使の笑みを浮かべながら、3人を奈落の底に突き落とす。

「どうして、あなた方みたいなクズ……いやぁ? 遥さんに至っては殺人犯でしたねぇ? すみません。うちの渚には、どうしても、あなた方クズ人間の力を借りなければいけない事情があったんです。でも、それも無事に解決しました。なので……最後に今までのお礼と言ってはなんですか? このような物をご用意しましたので、よかったら」

 昴は、3人にお礼の品(一輪の椿)を配り終わると、財布から5000円を取り出し、テーブルの上に置いた。

「では、渚に報告しないといけないので自分はこれで」

 休憩室から無言で出て行く。

※椿の花言葉:罪を犯す女

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略奪結婚 今から君を奪いに行きます 変更版 なつかわ @na_tu_ka_wa

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