君が見つけてくれたから
第44話
カフェ喫茶rose 従業員休憩室
「遥さん! 遥さん!」
「あぁ!」
「大丈夫ですか?」
「あれ? 昴くん?」
「遥さん? 大丈夫ですか? 急に倒れたからびっくりしましたよ?」
「倒れた? 私が?」
「はい」
「僕が、遥さんに渡した、ジャーマンカモミールの匂い袋の匂いを嗅いだ瞬間、急に倒れてしまって、どうしようと困っていたら、この人達が一緒に、ここまで運んでくれたんです」
昴は、自分と倒れた遥をカフェ喫茶rose の従業員「休憩室」に運んでくれた恩人にお礼を言おうと、昴のすぐ後ろに立つ二人組に声を掛けようとしたら、
「野口くん? それに? 村瀬君?」
そこにいたのは、今、まさに自分達が監視していた野口一と村瀬斗真本人だった。
「お久しぶりです。鴇矢さん? まさか、貴女とこんな所でお会いできるとは思いませんでした」
物腰柔らかに、野口一が遥に声を掛けてきた。
「……」
心配そうに自分に声を掛けてくる野口に、遥は、未だに状況が解ってない。
それどころか、さっきまで自分はあきらかに、ここではない別の所にいた。
それに、昴くんのあの言葉?
『自分が渡した匂い袋の匂いを嗅いだ瞬間……私が、いやぁ?』
「……鴇矢さん? 大丈夫ですか?」
「あぁ! 大丈夫。それより、野口くん達もゴメンねぇ? 大変だったでしょ?」
「いえ。僕と斗真は、彼? 鳴海坂くんに頼まれて、店員さんを呼びに行っただけで、ここまで鴇矢さんを運んだのは、鳴海坂くんですよ?」
野口の指摘に、昴は、恥ずかしそうに頭を掻きむしると覚悟を決めたかのように、遥いやぁ? 3人向かって話しかける。
「……遥さん。それに、野口さんと村瀬さん。僕は、泉石渚の親友兼相棒です。そして、貴方がた3人は、実は、お知り合いだということも、渚から訊いて知っています。それと、野口さんと村瀬さん。あなた方2人が、探偵で、渚からの急なお願いで、草津千里の救出に向かってくれたことも知っています」
「!」
遥だけではなく、自分達しか知らないはずの秘密(草津千里の事)を知っていた昴に野口と村瀬も驚きの表情を見せる。
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