第43話
「すすす昴くん!」
唇が触れるんじゃないかと思う距離まで昴に顔を近づけられて思った瞬間、目の前が視界が暗くなり、再び目の前が明るくなったと思ったら、昴の姿は消えていた。
それどころか、遥もまた見知らぬ場所に立っていた。
「……ここは? 私、喫茶roseにいたよねぇ?」
遥は、現在の状況を把握しようと周りを確認するが、周りには誰一人おらず、見えるのは不自然に置かれた一脚の椅子。
遥は、自分の状況と本当に誰もいないか確かめる為に、椅子の所まで歩いて行くことにした。
そして、椅子の所までやってきた遥は、椅子の上に椿の花が一輪無造作に置かれていることに気がついた。
「……椿?」
遥は、椅子の上に置かれていた椿を手に取る。
「どうして、こんな所に椿が? それより? ここは一体?」
「ここは……人生の……いいえ貴方の心の中ですよ?」
「!」
自分以外誰もいないはなずなのに、突然聴こえてきた男性の声に、遥は、驚きながらの声の主を捜す。
しかし、どんなに捜しても、声の主は見つからない。
その代わり、手に持っていた椿の花が消え、代わりに椅子の上に一枚のメモ用紙が張り付けられていた。
<犯した罪は永遠に消えることはない。例え、貴方自身が忘れようとしても>
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