第15話
「あぁ! そうだ! 野口さんから、渚に伝言があったんだ! 今度、野口さんが働いている探偵事務所に、何年かぶりに新人さんが入るんだって」
「それで?」
それが、俺に「どう関係が?」 と言わんばかりの視線を昴に送る。
「だから、渚にもその新人を紹介したいから、渚の予定を教えて欲しいんだって?」
「なんで? 俺には関係なくない?」
「もう? そんなこと言って。野口さんから訊いたぞ! お前、仕事で困ったことがあると、野口さんとその相棒さんに愚痴訊いて貰っているんだって? 俺? ちょっと嫉妬しちゃうなぁ?」
渚と4年ぶりに再会してから、二人で食事に行ったのは、10回ほど。
それも、プライベートではなく、渚の裏の仕事を手伝ったあとやその途中。
だからこそ、渚とプライベート(但し、愚痴訊き)で、お酒が飲める野口さんとその相棒さんが羨ましくてたまらない。
そう! 相手が例え、裏社会の人間でも。
「はぁ? 嫉妬? 誰が誰に? まさかお前が? 野口一に? 馬鹿じゃねぇの!」
「……」
そこまで言わなくてもいいじゃあん。
膝の上で両手の拳を強く握りしめる。
「まぁ? お前とは、再会してから飲みに行くどころか、ゆっくり食事すら言ってないもんなぁ? 今日の夜でも、2人で飲みでも行くか? これから忙しくなるし?」
「えっ?」
渚からのまさかの提案に、昴は、驚いてしまうが、すぐさま「うん」と返事を返す。
2人が、そんな会話を繰り広げている間、テレビでは、文彦和彦、結婚詐欺及び人身売買疑いで、緊急逮捕の速報流れていた。
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