第12話 神魔大戦
「大聖女様!!」
「その声はミレーユですね。私の罪は消えません。もう、私に関わるのはおやめなさい。」
「違うのです! 女神ベガがご降臨下さったのです!!」
「まさか、、、」
大聖女クララ・クラベルは、地下牢の最奥に繋がれていた。座敷牢になっており、牢の中で多少動く事は出来るようだが、灯りはなく、衛生状態も最悪だった。
「クララ。なんじゃあ、そのザマは。」
「ああっ、そのお声は間違いない!
この盲いた目にも、後光が届きます!!」
ボロボロと光を失った両目から涙がこぼれ落ちる。
「すまなかったな。妾から見ると人間の時の流れは短すぎてな。」
「いいえ。私の命がある間に再びご降臨頂けただけで、何ものにも代え難い悦びに御座います。」
「その様子だと、まだ、自分を許せてないのか?」
「はい。ここに篭ってもう何年経つでしょう。足腰も立たず、目も見えなくなりましたが、まだ、私の罪は如何程も消えはしません。」
「お主が世界から消えた後、教会は腐敗の沼に沈んでおったのじゃ。」
「まさか、そんな、、、」
「お主が自責の念に駆られるのは勝手じゃが、残された者達のことも考えてやらねばな。」
「私はまた罪を、、、」
「ああそうじゃ! 大罪じゃ!!」
厳しい声をかけるベガだが、その瞳は慈愛に満ちていた。
「ふわあぁぁぁぁぁ! 綺麗ですうぅ!!」
シュンカが感嘆の声を上げる。
ベガの放つ後光が、一斉にクララへと降り注ぐ。
「ああっ、目が見える!! 痛みが消えてゆく!!
私の罪は消えていないのに!!」
「お前はこの世界の罪を背負った。いや、世界が罪を押し付けた。だから、お前は妾に力を貸せ。
妾がこの世界の罪を祓う。」
「あのー、ドヤ顔の所、大変申し上げにくいのですが、あまりの超展開についてけねえっす。」
「しえるは、別の世界の者じゃからな。今は黙っておれ。」
「むっ! なんだよ、その言い方は!!
あたしらはチームなんじゃないのかよ!!」
「喧嘩はダメですぅ!!」
「そうじゃな。話は一旦戻ってからじゃ。クララは身を清めておれ。後で迎えに行く。
ミレーユ、グスタフ。お前達は沙汰を待て。どうせ逃げても無駄じゃから、他の奴らはほっといて構わん。好きにさせろ。」
「「はっ!」」
「では、戻るぞ!」
いや、いいんだけどね。土下座で見送られるの、ちょっとむず痒いからやめて欲しいのさ。
--------------------
「で、どういう展開? クララさんってどう言う人?」
「クララさんを知らないのですか? 私でも知ってる有名人なのです!
先の神魔大戦において、自己犠牲の極大魔法で、敵の魔神を討ち取り、神の勝利を確定させた人なのです!」
「自己犠牲? メ◯ンテ? じゃあ、なんで生きてんのさ。それも罪人として。」
「わ、わ、わ、私も、生きてるなんて知りませんでしたけど、、、」
おずおずとベガの方を見るシュンカだった。
「ああ、あれな。そう、メガ◯テなんだよ。ボスに効かないアレ。
神軍の長が和平を持ちかけたんだよ。で、敵将を誘き出して、人間の勇者達に騙し討ちさせる計画だったのさ。
で、クソ真面目なクララに、色々と吹き込んでさあ、メガ◯テを会談の場で打たせたってわけ。」
「それって、酷くない? 神の方が悪い奴って世界線なのかい?」
「良いも悪いも、それは人間の尺度だからねえ。人間にとって都合がいいのは、神の支配下にある事だってのが、人間達の常識ってだけの事さ。」
「でも、メガ◯テはボスには効かないんだろう?」
「そう。それを分かってて、神はクララにやらせた。ただ魔神軍をおちょくるためだけにね。」
「クララさんは、それで世界を守れると思って命をかけた、、、」
「でも、会談の場に現れたのはそこらの中ボスじゃなくて、魔神王だったんだ。」
「それって、つおいの?」
「魔神の長さね。強いのも強いが、全魔神軍のトップが出てきた。」
「なおさら、ダメじゃん。おちょくりにもなりゃしない。」
「それが、何故か効いたのさ。メ◯ンテを放った事でクララの魂が崩れるはずなのに、魔神王の魂が崩れちまった。
神軍は一気呵成に魔神軍を攻撃し、この世界から追い払ったんだ。」
「ほえぇぇぇ。そうだったんですねぇ。」
「なに、シュンカが感心してんだよ。この世界の人なら知ってる話しだろう?」
「いいえ。私たちが知ってるお話だと、極大魔法と勇者様の究極剣技の力で魔神王を倒したと伝わってます。」
「そう。そして英雄王の誕生ってわけだ。」
「あれっ? って事は勇者は魔神王を倒していないのに、英雄として王になったって事かい?」
「そう。そして、本当の功労者であるクララは、騙し討ちを行った罪人として牢にいたわけだ。クララはクソ真面目で頑固だから、真相を知ってしまうと、自分の行いを許せなかったんだろうね。
「あれれー? おっかしいぞーー?」
「どうした? わざとらしくメガネ小僧の真似なんぞしおって。」
「勇者様は棚ぼたどころか、棚から世界を手に入れて、そこから腐敗が始まったんだよねえ。
それって、最初から仕組まれてたんじゃない?」
「ひっ! 急にしえるさんの声が低くなったです。」
「まっ! そう思うよな。」
「その辺、ベガでも真相はわからないの?」
「勇者のバックには英雄神タケルがついとる。神魔大戦の功績で、奴が12神の第一席に昇格してな、ヒラの妾では手が出せんのじゃ。」
「なんか、神様の世界にまでそう言うヒエラルキーがあるなんて、がっかりだよ。」
「妾もそう思う。」
外氣装甲の超反少女 四十万定六 @finch3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。外氣装甲の超反少女の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます