第11話 降臨

しーーーーーーーーーーーーーん。


 ありゃ、広間の時間が止まったのかな? ザ・〇ールドを発動しちゃった?


「き、き、き、きさまーーーーーーーーーっ!!!

 い、今、、、なんとぬかしおった!!!!!!」


 イボガエルブタが動き出したよ。おろ?


「タヒねって言ったでしょう? つうか、なんで生きてんの? この豚?」


「な、な、な、、なんと言う、、、ワシを誰だと思ってえええええええ、、、ええっ?」


 ガシッ

「ブヘッ」


 あろう事か、シュンカを殴ろうとしやがったよ。ロリコン豚野郎の分際で。

 もちろん当て身投げで、頭から落としてやったさ。


『あ、あーーー、聞こえるかな? しえる君。』


「なんでしょうベガさん。なんか、距離を置こうとしてません?」


『あなた、超必殺技をいきなりぶっぱしようとしましたね?』


「なにか問題でも?」


『当たり前だ!! 体力満タンで、パワーゲージ空っぽで、出るわけないだろうがあ!!!』


「忘れてた!!!!」


 つか、そんな設定こそ外しとけよ。神なんだからさあ。


「危険に晒されるのはシュンカなのですよ!

 ふざけないで下さい!!」


「ふざけてなんか無いさ。

 ゲージなら満タンだったんだよ。怒りゲージだけどさあ。」


 その後、シュンカはちぎっては投げ、ちぎっては投げまくりんぐ。もちろん、あたしが当て身投げコマンドを入れ続けてるんだけどね。シュンカはちっちゃいから、ほとんど攻撃を上段受け身だけで捌けるんだよ。一応、足元には気をつけてるんだけどさあ。

 敵を投げると周囲の敵も巻き込んでダウンさせるのは、アバⅡと同じメーカーが出してたベルトコンベアーアクションのリーサルファイトシリーズと同じだね。

 ただ、屑豚以外はちゃんと受け身を取るんだよ。だから、あんまりダメージを負ってくれない。でもさあ。いよいよお待ちかねのアレですよ。


「ライジング・ハリケーン!!!」


「「「「「うわぁーーーーーーっ!!!」」」」」


 シュンカの周囲にエネルギーの渦が巻き上がると、触れるもの全てを吹き飛ばした。

 なかなか減らなかったライフゲージが、みんな真っ赤さね。


 そう。当て身投げでパワーゲージをチマチマ稼いでたのさ。また、空になっちゃったけど。


「な、な、な、なんなんだ!? この小娘は!?」


「控えなさい!!」


 広間に声が響き渡る。高い天井から半透明の女神がゆっくりと降りて来る。


「おおっ! 女神様の降臨じゃあ!!」


 気絶していない者は、すぐさま土下座する。女達もだ。


「誰じゃ。妾達を崇めるための神聖な場所を売春宿にしおったのは。」


 土下座したままの男女は、全員、倒れたままのロリコン豚を指差した。


「そいつは客なのであろう?」


「恐れながら申し上げます。」


 一番年上らしき女が顔を上げた。


「申してみよ。」


「はい。その男、ゲロインクは、ゲロインク商会のオーナーで、その利益をボグゼム伯爵に献上する事で、準男爵位を賜った者です。

 元々、娼館の経営をしていたのですが、どこからか怪しげな薬を手に入れたようで、それを使って随分と非道な事をしていたそうです。」


「ふむ。こいつがただのロリコンでは無い事は分かった。だが、それとこの教会の腐敗に、どう関係があると言うのだ?」


「それは私が。」


 ロリコン豚のご機嫌を取っていた男だ。


「私はゲロインク様の娼館を取り仕切っていた者です。」


「そうか。貴様もグルと言うわけじゃな。」


 なんだろう。観念したと言うにしては、瞳の光が強い気がするよ。この人。


「はい。私の処分はいかようにも。地獄へ送られる覚悟はできております。」


「ふむ。我が身を捨てても訴えたい事があると言うんじゃな。」


「その話、長い?」


 みんな目をパチクリしちゃった。


『おい、しえる。さすがにそれは空気が読めなさすぎるぞ!』


「ああっ! そうじゃなくって、怪我人を待たせてるからさあ。その治療をお願いしに来たんだよね。」


「妾は力を使いすぎておってな、エントロピーを減少させすぎると、この世界系の総質量が、、、」


「その話、長い?」


 今度は、みんな納得顔だ。








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