晦冥のアンコール あとがき

哲学的な思考に至ることがよくあります。

 生きる意味とは何か、人はなぜ生まれてきたのか、そもそも「普通」とは何だろう、と。誰もが抱く問いかもしれませんが、結局のところ、誰一人として同じ人間は存在しない訳で。

 だからこそ、死というテーマに興味を持つ人がいても、おかしくはないと思うんです。


 ここで書いていることが正しいかどうか、大事なのはそこではありません。

「死にたがり」という表現は、もしかしたら不適切かもしれません。

 自殺願望を持つ人として書いたわけではなく、死とは何か、生きるとはどういうことか、それをただ考えたかったという、哲学的な愚か者の独り言の方が近い気がします。


 だからきっと本作の中で描かれている人物は決して「死にたかった」わけではないのだと思います。

 衝動とは時に使命のように、まるでそう決まっているかのように感じるのです。


 本作は全体を通して暗い雰囲気を持っていますが、それだけで終わる訳ではありません。

 主人公のひとつの思考として触れてもらえたならば、きっと本作も少しは報われるのだろうと思います。

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