おかえり
バイクの音がした。
玄関のドアがガチャリと開く。
途端に子供たちが、
「パパ、おかえりー!」
とリビングから飛び出していった。
私が玄関に行くと
2人の子供を抱えた君が
野球のユニフォーム姿で
照れくさそうに立っていた。
ただいま
おかえり
やっと、帰ってきたんだね。
うん、今までごめん。
眩しい白い光に照らされて、
君は私を見て微笑んだ。
ママ、ママ!
目を開くと、もう朝だ。
子供たちが私の顔をのぞきこんでいる。
私は2人をぎゅっと抱きしめて、
保育園と会社に行く支度を始めた。
仏壇を開き、
線香を灯す。
手を合わせながら、
君がきちんと家に帰れたことに安堵した。
君のかけら
さまよっているんだね。
これが全てではないかもしれない。
でも、大事なピースが戻ったみたいだ。
おかえり
ただいま
おかえり
ただいま
たとえ夢でも会いたかった。
おかえりって言えて嬉しい。
ただいまが聞けて悲しい。
君の姿が見られて苦しい。
手と手を合わせる。
祈りを込める。
未来がどうなるか
まるでわからない。
宙ぶらりんな私たちのそばで
見守ってください。
おかえり。
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