イチョウ
甲州街道をパトカーで走る。
事情聴取が終わった私は
シートに背中を沈めた。
今日は木枯らし1号が吹いた。
カラリとした肌に刺す風の塊が
車のボディに容赦なく吹き付けていた。
突然フロントガラスが
真っ黄色になった。
イチョウの葉だ。
強風にあおられた
何十枚もの黄色い葉っぱが
ベタベタベタベタと視界を奪い
辺り一面が黄色い大地に変わった。
黄色い空、黄色い道。
1歩踏み出すたび
イチョウが私にまとわりつく。
ベタベタベタベタ
そのうち私は
イチョウの葉でこしらえられた
出来損ないの人形になった。
ガサガサと大きな音を立て
イチョウ人形は歩く。
黄色い山が見えてきた。
近づき山をかき分けると
それは未来の自分
倒れて葉っぱの山になった
自分の姿だった。
バサバサバサバサ
葉っぱをかき分けかき分けると
そこにはつるんとした姿の眠る私
イチョウ人形はその姿を見つけると
おいおいと泣き出した。
黒目に黄色いイチョウの葉。
いつか世界が違って見えますように。
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