第3話 イケメン発見!

「な、な、何だ!」

 ジョンはミコの上から飛び降りて、腰を抜かした。


 ミコは、何故か怖くなかった。それよりも懐かしささえ感じていた。


「もしかして、貴方は」

『覚えているかい、美琴? いや、今はミコだったね』


 そのコウモリは、ミコが前世でコウモリだった頃の仲間だった。確か、名前は‥‥‥


「コウね!」

『思い出してくれたんだね、ミコ。助けに来たよ』

「ありがとう、コウ!」


『じゃ、背中に乗りな』


 ミコは、数少ない衣服と靴を持って、コウモリの背中に乗った。コウモリは屋根を突き破って夜空にはばたいた。


「懐かしいわ、この感覚。コウモリだった頃は楽しかった」


『そうかい。美琴は、いやミコは、よくはしゃいでいたな』


 ミコを乗せたコウモリのコウは、ねぐらの洞窟に帰った。洞窟の前でミコを降ろして、コウは本来のサイズに戻った。


『とりあえず、ここに住むしかないけど、大丈夫かい?』

「うん、屋根があるだけましだよ、ありがとう、コウ」


『じゃあ、俺は何か食べる物を取って来るよ。果物なら食べるだろ?』

「ありがとう」


 コウは、再び夜空に羽ばたいて見えなくなった。


 ミコは、洞窟の奥に入って行った。ここは、コウの仲間達も棲んでいるんだろう。地面はフンでいっぱいだ。しかし、奥の方に行くに従って、フンはなくなった。


 ミコは、奥まった場所にうずくまる何かを見つけた。人だった。


「人、だよね。寝てる?」

 ミコは、恐る恐る近づいてみた。


 ところどころ赤い染みのある擦り切れた衣服を身につけ、顔も手足も汚れていたが、綺麗な顔立ちをしている男だということが分かった。


「イケメンだわ」


ミコは昔からイケメンが好きだった。

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