第9話
ようやく桟敷席にたどり着き、指定場所に座って彼女に声を掛けた。
『ここまで大変だったね』
『ほんと、人混みが凄かった〜』
花火が始まる前から人の多さに滅入った様だ。
『帰りも大変そう』
『もう帰りの心配かい?』
『だって〜。来る時お尻触られた』
『え、俺では無い、と思う…』
『と思う…、ってどういう事?自信無いの?』
『手を繋いで、抱き寄せてここまで来たけど、自信は…無い!』
『も〜っ。』
開始時間を待ちながら、途中で買った食べ物を広げていた時、突然雷鳴が鳴り轟いた。
ここは雷の通り道でもある為、夕立に見舞われる可能性が高い場所。
『夕立が来なければいいな〜』
少し心配顔の彼女。
『激しく降り出したらこの下に避難出来るけど、少しでも降り出したら帰ろうか?』
『そうだね〜、仕方ないけど…』
花火が始まり、特等席である桟敷席はやはり見やすい。
彼女も非常に感動して楽しんでいる。
『花火の音が凄いね』
彼女の様子を見ながら、聞こえる様に顔を近づけて話す。
『本当、こんな近くで見た事無いから迫力有るね。』
彼女は花火の光と音に圧倒されている。
ただ、もう少しで前半戦のクライマックスが来ると言う時に、雷の音が激しく鳴り始め、大分近づいてきていることを感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます