第6話

異性として意識しているならば、追う立場に置くことで、脈があれば後で連絡がある筈だと思っていた。


社用車に向かって歩いていたら、彼女は意表をついて後を追って外に出てきた。


『突然だからビックリしちゃった。今日はどうしたんですか?』


『あ〜、出てきちゃって良いの?。普通に仕事だよ〜』


彼女が連絡先の書かれたメモを渡してきた。

『また会って貰えますか?』


彼女達を揶揄うつもりでいたので、自分としては目標を達成していたが、彼女の気持ちを揺さぶり過ぎたようだった。


『会うのは構わないけど、俺なんかで良いの?』


『うん…』


『分かった。室内から丸見えだろうから後で連絡するよ』


彼女と二人でいる姿を彼女の同僚にどう思われたのか少し気になった。



彼女の感情をコントロールするつもりが、彼女に取り込まれつつある事に気付いた瞬間だった。



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