第16話 ある日スライムを拾った④
それにしてもスーラの食欲には驚かされる。
牛乳や煮干しだけでなく、人参、ジャガイモ、食パン、唐揚げなども与えてみたが、どれもこれもあっという間に平らげてしまった。
食事のあと、スーラは着実に成長し、その体積を増やした。
もうすでに一リットルの水筒では入りきらなくなり、二リットルのペットボトルに入れている。ホームセンターで大きな水筒を購入しなけらばいけないな。
テーブルにレジャー用のシートをひいて、スーラを置いてみる。
プルプルと震えながら、スーラはシートの上で踊るように震えている。
スーラは水のようで水ではない。
その触り心地は女性の肌のように心地よい。
スーラがいたら彼女なんていらないな。
僕は音楽をかけてみた。
人間も音楽を聴くとリラックスできる。なら、スーラも同じではないかと思えた。
音楽を聴いたスーラはリズムにあわせて震えだす。
そういえば、音楽にあわせて動くおもちゃがあったな。
ロックをきくとスーラははげしく震える。バラードを聞くと静かな波のようにゆっくりと揺れる。
クラシックをきかせるとかすかに震え、平らに広がる。どうやらスーラはクラシックが好きなようだ。僕にはそのように見えた。
クラシックを聴いているスーラは楽しそうに小さな波を漂わせている。
夕方になり、僕は二リットルのペッドボトルにいれて買い物にでかけた。
ホームセンターで大きな水筒に入れる。
やはり、ペッドボトルよりもステンレスの水筒のほうが住み心地がいいようだ。
中にはいったときの揺れ方が全然違う。
ホームセンターのあと、スーパーマーケットに向かう。
あと数日で完全なる無職になると思うと不安で仕方がない。
僕はそんな不安を払拭するために缶チューハイにとんかつ、ポテトサラダを買い込んだ。全部割引商品だけどね。
今夜はスーラと共に飲み明かそうと思う。
スーラはアルコールを摂取するとほんのりと温かくなるんだよな。
そのぬくもりと柔らかさはたまらない心地よさだ。
スーパーの帰り道にあの可愛らしいコンビニ店員とすれちがった。
彼女はうつむきながら、時々ふりむき、足早に歩いていく。
まるで何者かにつけられているように見えた。
その何者かに怯えているようにも見えた。
だからと言って赤の他人の僕には何もできない。
その日の夜はお酒を飲んで温かくなったスーラをペッドボトルにいれて一緒に眠りについた。こうして眠るとスーラが布団を温かくしてくれて、快適に眠るkとができた。
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