第14話 ある日スライムを拾った②

 ペッドボトルに満タンになったということはこの透明な粘液の体積は約五百ミリリットルということだ。

 一晩で単純計算で倍になったということか。

 それはどうしてだろうか?

 僕は推測する。


 もしかするとペッドボトルにわずかに残ったスポーツドリンクを吸収したのではなかろうか。

 それを栄養源にしてこの透明な粘液、スライムは成長したのではないか。


 僕はペッドボトルの蓋をあけ、スライムをテーブルの上に流す。

 ぷるぷるとそれはふるえながら、粘液はテーブルの上に鎮座する。

 指でなでるとさらにスライムはふるえた。

 どうやら僕の指の刺激に反応しているようだ。

 僕にはそれが喜んでいるように感じられた。


 僕はキッチンに行き、牛乳パックを取り出す。それをコップに注ぐ。

 部屋にもどり、コップの中の牛乳をほんの少しスライムに注ぐ。


 その粘液は喜んでいるかのように体をふるわせ、白い牛乳を吸収した。

 さらにコップ一杯分を注ぎいれると震えは止まる。


 どうしたのだろうか。


 ぷくっと小さな音をたて、スライムの粘液が増えた。

 目測だけど一リットルはあるように覚える。

 また体積が倍になったようだ。

 牛乳の栄養の成せる技とみていいだろう。


 僕はキッチンの棚から一リットルは入るステンレスの水筒を取り出す。

 スライムに水筒の飲み口をあてる。

 うれしそうにプルプルと震えながら、水筒の中に入っていった。

 どうやら新しい家を喜んでくれたようだ。

 まるで住処をみつけたヤドカリだなと僕はスライムを見て、そう思った。

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