第13話 ある日スライムを拾った

 これは私の同級生である田代(仮名)が体験した物語である。 

 

 このアパートにいあられるのは残り一週間か。 

 僕はとある工場にに勤める工員であった。

 だがその工場は小折からの不況であっけなく倒産してしまった。

 このアパートは工場の寮なのだ。そしてここにいあれる期限があと七日ということなのだ。無職になった僕は再就職をさがしてはいるが、なかなかうまくいかない。

 寮の期限だけが刻一刻と近づいていた。


 残り七日のうちに次の仕事をなんとかみつけなくてはいけない。

 だけど面接はことごとく落ち、机の上にはお祈りの封筒だけがたまっていく。そんなに祈られたら神様になれるかもしれない。


 アパートにいても仕方がないので、僕は近くの公園に散歩にでかけた。

 けっこう大きな公園でテニスコートや市民プールも併設されている。プールは冬なので閉鎖されている。


 僕はベンチにすわり、ぼんやりと空を眺める。空はどこまでも青く、人間なんてちっぽけな存在なんだと認識させられる。

 きれいな空をみてほんの少しだけ気分ははれたが、現状はなにもかわらない。

 僕は無色のニートだ。


 なんとなく公園の景色を見ていた僕は奇妙な違和感を覚えた。

 水飲み器の周辺になにかぶよぶよとしたものが見える。

 透明でやわらかそうなそれは水飲み器の水がでる丸い部分にまとわりついている。

 大きさはおおよそ十センチメートルほどの楕円形をしている。

 興味をもった僕は恐る恐るそれに触れてみる。

 冷たくて、ぷよぷよしていて触り心地はかなり良い。

 そうだ、小学生のときに遊んだスライムに感触がにている。


 僕はカバンの中に入れておいたスポーツドリンクをすべて飲み干す。

 ペッドボトルの飲み口をその透明な粘液に近づける。

 ペッドボトルの約半分がその透明なスライムによって満たされる。


 僕はそのぷるぷるとかすかに動く透明な粘液をアパートに持ち帰った。


 次の日の朝、ペッドボトルを見ると透明な粘液は満タンになっていた。丹春敬さんではるが、スライムの体積は倍になったようだ。

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