第9話 シャットダウンしたい

※月子視点


 休日の朝、おそく起きた私はトーズトとコーヒーという簡単な朝食をとっていた。

 つけっぱなしのテレビからはニュースが垂れ流される。

 それはとくに知りたくもない情報だった。

 その出来事を私が知ってもどうすることもできない。

 知ったからといってもどうしようもないのだが、心が痛む。

 人は自分には関係なくとも、ネガティブな情報を得るとストレスに感じるという。

 老人の孤独死、パワハラを苦に自殺した女性会社員、ストーカーに殺されたコンビニ店員などのニュースを神妙な顔でニュースキャスターが読み上げる。

 気がめいった私は子供向けのゲームバラエティに番組をかえる。


 さて朝食を食べたあとは蒐集した物語を編集しよう。集めた情報を物語にするには、観察者が必要だ。

 私と麻美がつくりあげた細井瞳というキャラクターはいわば著作権フリーの素材とした。そうすることによって彼女はいろいろな人の手にわたり、物語を集めてきてくれる。ネットでバズるまではいっていないが、何人かの創作者によって物語が紡ぎだされている。

 私はその光景にほくそ笑んだ。

 私も負けずに物語を作ろうと決意した。

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