第8話

「青木さん」

不意に呼び止められて、振り返るとそこに立っていたのは三室潤である。

萌香は勿論、他の2人も歓声を上げる。

「ちょっと……話があるんだけど」

女子3人組はキャーキャ騒いでいる。

2人に送り出されて、萌香は潤の後を追って行った。

そして2人は屋上に行った。


「話と言うのは……奥沢さんの事なんだ。彼女誰か好きな人がいるのかな」

「えっ?」

萌香が見ると、潤は真剣な眼差しで萌香を見ている。

「桜井君」

咄嗟に郁弥の名前が出ていた。

「そうか…… 」

潤は息を吐き出した。

「そっか、やっぱあの2人そうだったんだ。ありがとう」

萌香は胸の痛みを覚えていた。

潤はそのまま屋上から出て行った。

私、何であんな事言っちゃったんだろう!

桜井君と礼音は友達なのに……

ゴメンね。礼音。

でも三室君を取られたくないの。


"ノートありがとう。

助かりました。

期末テストお互いにベストを尽くそうね。


奥沢礼音"


このメモが翌日、クッキーの袋の中に入っていた。

クッキーは大好きなくるみクッキーだった。

それが机の中に入っていた。

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