第5話 敗走
「さてと、土下座させに行こうか?」
「まー君凄いね!」
「いやーそれほどでもー」
デュフフ。
「ん? 何か地響きが……うわぁ、あの無能やりやがった」
「なに? なに? 何があったの?」
「ありゃー全軍だな。
兵隊率いて追撃に向かったみたいだね。
俺たちが撤退させたから、功を焦ったか、面子が潰れたと思ったか、その両方か」
「それって大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないね、ほぼ無傷で魔物はいるし、それで血に酔った魔物は理性吹っ飛ぶから、俺でも止められなくなる」
「どうするの?」
「逃げるしかないな」
砦に残った一般人や文官に声掛けして、逃げれるだけ逃げよう。
「はい、逃げるよー! まだ時間的に余裕あるから慌て無くていいけど、逃げないと殺されるよー」
「まだ、負けると決まったわけでは無いではないですか!」
この兵士、若い、若いなぁ。
「負けるに決まってるじゃん、でも、そう思うならここで待ってればいいよ、無駄死にするだけだけどね」
説得してまで、生かす義理もないなぁ。
ん?
「私は誰も死んでは欲しくないんです!」
あちゃー、聖女ちゃんみんなを説得して歩いてるよー
コレは時間かかるなぁ。
「聖女ちゃん、聖女ちゃん、もしかしてみんな説得するまで逃げない?」
「ごめんなさい、私のワガママだって分かってるんですけど……どうしても皆んな死んで欲しくなくて……」
「ん、良いよ。
何が来ても俺が守ってみせるから、思うようにやってみなよ。
聖女ちゃんらしくて俺は好きだよ。
あ! この好きってのは、その聖女ちゃんが好きとかじゃ無くて、あ、いや、好きなんだけど、えっと……」
「フフッ、私もまー君の事好きだよ。
友達としてだけどね」
あー、聖女ちゃんの笑顔は世界一だな。
ー 三日後深夜 ー
「ごめんね、私のワガママのせいで」
「説得思ったより時間かかちゃったねー」
「……うん」
「今からだと誰かがここで食い止めないと、追いつかれちゃうからね、そんな事出来るの俺だけだし」
「でも、まー君にしたら仲間を相手にする訳でしょ」
「俺たち魔族はね、死ぬ奴が悪いって考えるんだよ。
死にたくないなら逃げれば良い、隠れれば良い、それをしないのは死ぬ覚悟がある奴だけだって考える。
勝てると思って襲いかかってきておいて、負けそうになったから命乞いなんて都合のいい事考える奴が悪い。
そういう奴には生まれて来なければよかったって思わせるくらい酷い死を与える。
それが魔族なんだよ。
だから、俺が居るのに襲ってくるあいつらが悪い」
「私がまー君襲ったら、どうするの?」
「えー、困っちゃうなぁ、聖女ちゃんに勝てる気しないなぁ」
「じゃー、私に勝ったら好きにして良いよって言ったら?」
「えー、でも、俺は聖女ちゃんを力づくでいう事きかせたい訳じゃないからなぁ」
「優しいね……」
「そう?」
「友達以上にならなくても、ずっと側にいてくれる?」
「どんな関係でも喜んでそばにいるから安心して」
「……うん、ありがとう」
世が明ける。
眼前には二万の魔王軍。
「ねぇ? まー君って私の事大切に思ってる?」
「もちろん」
「私と世界征服出来る、ならどっちが大切なの」
「もちろん、聖女ちゃんさ」
「私の事守ってね」
「もちろん!」
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
長編も書いているので良ければ見てください!
https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826
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よろしくお願いします。
魔王になったんで世界征服しようと思ったら聖女が可愛かったんで、人間に化けて勇者になります。 山親爺大将 @yamaoyajitaisho
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