第4話 無双

 砦に到着した。

「なんなんだ貴様らは! バカにしているのか!」

 到着早々説教されてる。

 気持ちは分かる。

 十人の援軍ってどう考えても少な過ぎるもんな。

「だいたい、聖女だかなんだか知らないが、お前如き小娘が遊びで来て良いところじゃないんだ!」


 うん、とっても心情を理解できるよ。

 だがな……。

「文句があるなら王様に言えよ! 俺らが決めたわけじゃないし! お前の言う小娘はな! 少しでも力になれるならって怖いの我慢してここまで来てるんだ!」

 聖女ちゃんに矛先向けるのは違うだろ。


「なんだ貴様! 俺を誰だと思ってる!」

「誰だろうが関係ないだろ!」


「だいたいお前らみたいな役立たずが偉そうな事言うな!」

「役立たずだと? あの程度の軍勢にも勝てない無能がどの面下げて言ってるんだ!」


「き、き、き、貴様! だったらあの軍勢どうにかしてみろ! 出来るなら土下座でも何でもしてやるわ!」

「おう見てろよ! 聖女ちゃん行くぞ!」

「え? え! えぇぇぇ!」


 聖女ちゃんは軽いから小脇に抱えて砦の防壁までゴー!

 おーいるいる!


「聖女ちゃん舌噛まないように気をつけてね」

「え! え? 何するんですか?」

「あ、飛び降りる」

「ちょっと! こんな高い所から嘘でしょ! キャァァァァ!」


 これじゃ聖女ちゃん舌噛んじゃうな。

 仕方がない、浮遊の魔法かけるか。


「あれ、ふわふわする」

「うん、浮遊の魔法かけた」

「ありがとう」

「可愛い……」

「え?」

「あぁぁ、なんでも無い! さ! あの軍勢に突っ込むよ!」

 思わず声に出てしまった。


「ちょっと! あんな所に二人で行ったら死んじゃうよ!」

「だーいじょうぶ、俺って魔王で勇者だし、聖女ちゃんまじ聖女だし」


「なんか私たちって、すごい人っぽいね」

「ぽいじゃ無くて、すごいんだぜ、聖女ちゃんが望むなら、世界征服だってしてみせるよ」


「まー君なら本当に出来そうだね」

「ま、ま、ま、まー君!?」

「あ、嫌だった? 友達になったんだからまー君って呼んだんだけど」

「嫌なんてとんでもない! めっちゃ嬉しい!」


 テンション爆上がりだぜ!


「おう! てめぇら選ばせてやる! 死ぬか?引くか? 今すぐ好きな方選びやがれ!」

「ヒャッハーお前を殺せば俺が魔王だ!」

 お、バカが早速釣れた。

 ほい、マイクロファイアーボールっと。


「え! 魔物が青い炎になって燃えた!」

「うん、俺って本当は魔法の方が得意なんだよね! 強すぎて手加減難しいから勇者選抜じゃ使えなかったけど」


 さてっと、砦の方に向けてっと。

「魔物が聖女の力で蒼き炎となって浄化されたぞぉ!」

「私何もしてないよ?」


「演出、演出、こういうの大事なんだよ」

「そうなの?」

「そうだよ」


「お前ら! 死ぬか? 引くか?」

 魔王の軍勢はその日のうちに前線を一つ前まで下げて行った。


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。

 長編も書いているので良ければ見てください!

 https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826


 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。

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