第3話 進軍
「見張り交代するよー」
「あ、いや、本当によろしいのですか? 勇者様が野営の見張りをされて」
「勇者っていっても大会で優勝しただけで、職業とか称号とかある訳じゃないから気にしなくて良いよ」
「我々は砦から帰って来れるにでしょうか……」
「聖女様の力を信じなさいって」
ま、いざとなったら俺が蹂躙するけどね。
しっかし、どいつもこいつも死にに行くような顔してるな。
……ま、しょうがないか。
五千人の兵士で守ってる砦に、二万の魔王軍が襲っているのに、援軍はたった十人だもんなぁ。
この国の奴らバカだろ、勇者が俺じゃなきゃ終わってたぞ。
と、まぁ、それは置いといて。
「ミレーネだろ? 出てこいよ」
「気づいておられましたか」
「当たり前だろー、俺を誰だと思ってる? で、何しに来たんだ?」
「我ら暗部は僭越でございますが、魔王様の目であり、耳であると日頃から自負しております」
「うん、助かってるよー」
「その私達でも魔王様の真意を測りかねております。
魔王様、失礼を承知でお伺いします! 一体何を考えておられるのですか?」
「何って、聖女ちゃんとラブラブになってイチャイチャしたいって、バッカ! 言わせんなよ恥ずかしいだろ?」
「私じゃダメ……」
「ん? なんだって? 声小さくて聞こえない」
「私じゃダメでしょうか! 私なら魔王様がどんなアブノーマルな欲求をされても! どんなにマニアックな趣味をされていても全て受け入れてみせます!」
「そういうとこなんだよな! お前らサキュバスは愛情と性欲を必ずセットで持ってくるじゃん! そういうのじゃ無いんだよ俺が求めてるのは!」
「クッ! 魔王様は! 我ら魔王軍四十万を! あの小娘一人と引き換えにして構わないのですか! どちらが大切なのですか!?」
「え? 聖女ちゃんに決まってるじゃん」
「な、な、な、なんて事を……」
「あ、そうそう、今から行く部隊に伝えておいてくれ、反抗しても良いけど反抗した奴は生きて帰れると思うなよって」
「魔王様のバカァァァ!」
おー早い早い。
居なくなって、ちょうど良かった。
向こうからやって来る気配がある。
誰だろう?
「まーお君ここ良い?」
聖女ちゃん!
「もちろん! 全然良いよ! むしろウェルカム!」
「あのね? まーお君に聞きたい事があったの」
「え? なに? 好きな女性のタイプとか?」
「あ、そういうのは全然大丈夫なんだけど、まーお君って召喚の時に来た魔王様だよね?」
「エ? ナンノコトカワカラナイナァ」
なぜバレた!?
「あ、私ね聖女じゃない? そのせいかオーラが見えるのね、で! 一緒なのよねオーラ」
「参った! 降参! どうすれば良い?」
「どうすれば?」
「あぁ、何か交換条件とかあるんだろ?」
「え? 無いよ、お礼言いたかっただけ! あの時撤退してくれたから私って有能って扱いになって、快適に過ごせてたから! ありがとう!」
「お、おう」
なんだ、この世界一可愛い生物は! 聖女ちゃんは俺的に特別天然綺麗人物に指定します!
今後、全力で保護活動しなきゃ!
「それでね? どうして魔王が勇者してるの」
「え! それは、その、あ、いやーまぁ、えーっと……」
「なんか聞いちゃいけない事だった?」
「いや! いけなくは無いんだ! いけなくは……そのーお友達になりたくて……」
「え? ごめん声小さくて聞こえなかった?」
「聖女ちゃんとお友達になりたくて勇者になりました!」
「え! そうなの?」
ごめん、嘘。
「恋人になってラブラブしてイチャイチャしたい」
「え!?」
やっば! 声に出た!
「いや! 違うんだ! コレは、その秘めたる思いってやつで!」
「うーん、友達からなら良いよ!」
もう死んでも良い。
いや、まだだ! 恋人になるまで死ねない!
【後書き】
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品はカクヨムコン参加作品です。
カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。
長編も書いているので良ければ見てください!
https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。
よろしくお願いします。
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