第2話 選考

 大会は予選から始まる。

 十人ひと組で一斉に戦い、盤上から出るか降参したら負け。

 最後の一人のみ勝ち抜けというのを二回行い決勝戦に進む。


 決勝戦は一対一のトーナメント方式だ。


 魔界は力こそ全ての世界。

 そこで王をつとめる俺が負ける訳もなく楽々決勝戦進出だ。


 てか、もう最終戦だし。

 コレに勝てば、聖女ちゃんに会える!


「貴様が対戦相手か?」

「なんだいきなり失礼な奴だな」

 うわーなんか如何にもな奴来たな。


「弁えろ!この方をどなたと心得る」

「知らねーよ」

 なんだこの腰巾着な奴。


「ゼイターク公爵の長子カネアール様であられるぞ! 頭が高い! 控えおろう!」

「で、なんの用事?」


「グヌヌ! 貴様ぁ!」

「ギンチャック、話が進まぬからもう良い」

「ははっ! 貴様命拾いしたな」


「で、なんの用事?」

「うむ、それなんだが、貴様は騎士に叙任されたいとは思わぬか?」


「で、なんも用事?」

「私に下につけば良い思いが出来るぞ」


「で! なんの! 用事!」

「う、うむ、ギンチャック!」


「は! 端的に言えば負けろという事だ」

「ふーん、いくらくれる?」


「手付けで金貨百枚、試合が終わればさらに倍出そう」

「金貨二百枚」


「随分吹っかけるな」

「嫌なら別に良いよ」


「足元を見ると碌なことにならんぞ」

「だから、嫌なら別に良いよって言ってるだろ?」


「クッ、ギンチャック払ってやれ」

「受け取れ! 下賤な輩には過ぎたるものだがな!」


 ー決勝戦ー

「では! 最終戦! 始め!」

 ドガッ!


「勝者! マーオ!」


「俺は負けてやるなんてひと言も言って無いからね! 金貨ありがとうな」


 ー謁見の間ー

「良くぞ勝ち抜いた勇者よ!

 其方はこれから聖女と共に、あの卑怯で醜悪、この世の汚物である魔王を討伐する任が与えられる」

 んー?

 これはキレて良いのか?

 いやいや、落ち着け、目的を忘れるな。


「では聖女チハルよ! こちらへ」

 キター! うおー! 可愛いすぎるぅぅ! 


「其方は知らないだろうが、あの魔王というのはな……」


 あーなんて可愛いんだ!

 友達くらいからならなってくれるかな?

 いや、そんな弱気じゃダメだ! か、か、か、彼女になってもらうくらいの気持ちじゃなきゃ!


「……ってもらう!」


「ん? あ、はい」


 あれ? なんか周りがドヨドヨとざわついているけど?


「流石は勇者だ! では、明後日に西の砦に向かってくれ!」

「えーっと、聖女ちゃ……聖女様は?」


「無論一緒だ!」


「あ!じゃあオッケーです」

 デートだ! デート!

 デートだ! デート!


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。

 長編も書いているので良ければ見てください!

 https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826


 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。

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