第9話 全員集合
「おっはよ〜、上杉くーん」と、相変わらずゆるい朝の挨拶をかまされる。
「おはよ、白田さん。研修は順調?」
「う〜ん!順調だよ〜」
すると、「おはよ〜!白田さん!」「今日も可愛いね、白田さん」と、男性を中心に話しかけられている。
確かにこれは指輪で牽制したくなる気持ちもわかる。
モテる女性というのも大変なんだな。
今はそんなことより...家にいる金野さんについて考えないとだよな。
同棲するってことだよな。うん。
いや、別に問題ないと言えばないと思うんだけど...色々物を揃えないとだもんな。
でも一体どういうつもりなんだろうか...。
そうして、いつも通り仕事を終えて、家に帰ろと会社を出たところで、赤村さんが待ち伏せしていた。
「やっほ」と、可愛く手を振る。
「び、びっくりした...」と、驚きを口にしていると、後ろから小走りでやってくる白田さん。
「ちょっと〜、一緒に帰ろうと思ってたのに、なんで先にいくのぉ〜?」
鉢合わせする2人。
「恵だ」「あ〜怜亜ちだ〜」
俺を放置して2人で話し始める。
こういう空間気まずいよなー...。
そんなことを思いながら、適当にそっぽ向いていると、2人がいきなりこちらを見る。
「てことで、この後夏樹くんの家に行くことになったからよろしく」と、笑いながら赤村さんは言った。
家は非常にまずい...。
だって、家には金野さんが居るし、同棲を始めようとしていることがバレる可能性がある...。
断ろうとするが「さて、いこ〜!」とこちらの意見など聞いていないかのように歩き始める。
鉢合わせしないようにしたほうがいいかなと思い、一応金野さんに連絡しておく。
『家に赤村さんと白田さんと来る』
いや、赤村さんとは連絡とってるっぽいし、知ってたりするのかな?
そうして、仕方なく我が家に向かう。
◇
「おぉー、良さそうなマンションに住んでるね」
「そうなんだよねぇ〜、広いんだよねぇ〜」と、2人が会話する中、家に入るといい匂いが香ってきた。
...まずい。
多分、金野さんが料理を作っている。
しかし、今更どうしようもなく、そのまま家に入る。
「あれ?この匂いは...カレー?」
「そだね〜カレーだね〜。お母さんとか来てるの〜」
そして、リビングに行くと、そんな声が聞こえてやや不満そうな顔をしている金野さんがエプロンをして立っていた。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089666223352
「って...ニーナじゃん。え?なんで家にいるの?なんで料理してるの?」
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089669807073
「あら〜、これはびっくり〜。久しぶり〜。それで〜?上杉くん、これはどういうことかな〜?」
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089669848091
はい。知っていますよ、この状況。
流れている空気は俺があの日の扉を開けた後と一緒だから。
「...なんで2人が来たの?」
そんな会話をしていると、玄関の扉が開き、誰かが入ってくる。
「あ〜、きたきた〜」という声と共に入ってきたのは安善さんだった。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089669771652
「...何これ?どういう状況なん?」と、不機嫌に呟く。
こうして、四傑とモブの俺が集合したのだった。
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