第41話 リドミの大陸の夢の魔法使い①
リドミの大陸は世界最大の大陸で、その面積は最小であるギンロシの大陸の約4倍を誇った。
国は大陸の中央部に固まるように32と、東西南北の端部に発祥の地としても有名な火、風、水、雷の魔法使いたちが住む国がそれぞれ1つずつあり、不可侵領域となっていた。とは言え、それは単に戦争を仕掛けてくるなら覚悟をしなさい。我々は強いですよ。という意味であり、敵意さえ抱かなければ誰でも自由に出入りする事は可能であった。
ミヨク達はその東に位置する火の魔法の発祥の地を訪れていた。
──火の魔法の国、ウナサの町。
「って、オイラ、魔法の発祥の国に来たのは初めてだけど、別に火の魔法の国だからって気温が暑いとかそんな事はないんだな」
「うん。世界が定めた四季には簡単には逆らえないからね。だからこの国にも普通に冬とかあるよ。今は春から夏になる頃かな」
新緑の爽やかな匂いに包まれた並木通りを歩きながらミヨクとゼンちゃんはそんな会話をし、マイちゃんはそれよりも地面から顔を出している新芽に興味があるようで、見つけては「えへへ」と喜び、また見つけては「えへへ」と喜んでいた。
「──ただ、この国には熱気の代わりに魔力が充満しているよ。仙人の所と似たような感じだね」
「ああ、それはオイラにも分かるぜ。なんてゆうか、スゲー力が湧く感じがする」
「そうだね。ゼンちゃんとマイちゃんは魔力を持っているからそんな感じだろうね」
「だったら仙人の
「いや、あれは気聖のオリジナル。この充満する魔力はこの国に住む皆の体内から自然に溢れているもので、敵意も悪意も込められてないから害はないよ」
「ん? だったら魔力の高いミヨクが来たらこの充満している魔力はもっと凄い事になるのか?」
「それは関係ないかな。だって俺は今は火の魔法は使えないから。あくまでもこの国に充満しているのは火の魔力で、それ以外の魔力は干渉できないようになっているんだ。基礎魔法を作った偉大な魔法使いたちによってね。もちろんそれは大陸の北にある風の魔法の地でも、西の水の地でも、南の雷でも同じだよ。それに俺は普段は魔力を自然にも溢れていかないようにしているしね」
「なるほどな。ところでミヨクは、今は、って言ってたけど、昔は火の魔法も使えたのか?」
「うん。火と水と風と雷は魔法の基礎だから、魔法使いは必ずそのどれかを先ずは習得するからね。それである程度までその魔法を高めると魔道士から大魔道士にランクが上がって、大魔道士になると他の基礎魔法を習得する事が可能になって、2つの基礎魔法を大魔道士にまで高めると
「新法大者は知ってるぞ。ミヨクとかオア大陸の魔王みたいに新しい魔法を生み出す事が出来るようになるんだよな。ただオイラの知識では、大魔道士の上のクラスがまだまだ曖昧だったけどな」
「うん。なんかそんな感じの説明を一年くらい前にしていたよね。勇者一行に。でも正式には俺がいま説明した通りだよ。ちなみに俺と魔王は更にその上の──」
「それも知ってるぞ。“
「そう。でもそこは曖昧なもので、長い間その新しい魔法を使っていても神か世界に咎められなければ、法神業を名乗ってもいいよ、みたいな感じなんだ」
「なるほどな。でも、ふと思ったんだけどよ、ミヨクも魔王も、法神業なんて肩書を名乗ってないよな」
「うん、名乗らない。大魔道士の頃は魔道士との差別化で口に出す事が多かったけど、新しい魔法を作れる程までに魔力が高くなっていると、もう肩書きなんてどうでもよくなるからね。新法大者になってる頃にはだいぶ年も取っているし。稀にファファルっていう永遠に破れない最年少記録をもつバカもいるけど、大体みんな50歳は超えているから今更感が強いんだ。それに正直、時の魔法使いとか、作成の魔法使いって言えば伝わるしね。ちなみに、基礎魔法のようにその新しい魔法が世の中に物凄く浸透して、それを次世代に繋げていく事が出来るようになると“
「大神業長……? いるのかそんな奴?」
「うーん、今の所は居ない。基礎魔法が4つから増えてないのがその理由。過去に何人か目指した人たちが居たけど、難しいからね。自分が作った魔法を他人に習得させるのって。しかも大勢に。唯一封印の魔法使いが良い線までいったけど、結局は無理だった筈」
「ミヨクは? 時の魔法は?」
「無理だろうね。時の魔法は凄く特殊だから。仮に習得可能な凄い才能をもった人に出会ったとしても、それはもはや俺やファファルと同等って事になるからね。端的にそいつもまた既に世界を滅ぼせちゃう魔力の持ち主って事だよ」
「なるほどな……」
そこにマイちゃんが2人の元にやってきた。
「なんか難しい話をしてるね。まるで説明書を読んでいるようだね。解説者みたいだね。オラには難しいね」
説明書……解説……。
「……マイ、そういう図星的な事は言うな。こういう細かい設定もいつか話さなければならないんだから……それが、何となく今来たって感じだ。だからあんまり気にするな……」
ゼンちゃんがそう言ってくれた。
「設定? うん、でも、なるほど。そういうものなんだねゼンちゃん。オラ分かったよ。それよりも、みんなで一緒に花を観察しようよ。楽しいよ。えへへ」
「う、うん、そうだね……」
ミヨクはそう答えた。
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