好きな子の携帯

「好きです!付き合ってください!あのこれ連絡先です!」

高校生だった僕は2年生の時から好きだった望月さんに告白し連絡先を渡した。この頃はスマホは無くて俗に言う『ガラケー』が浸透し始めた時代だった。が、高校生には手を出すには少し厳しかった。だから僕はバイトをしてやっとの思いで携帯を買った。

お辞儀をしていた僕は望月さんの顔を見れなかったが大層困った顔をしていたと思う。そりゃそうだ。昨日まで普通に友達だと思っていた人に告白されたらそれは誰でもそういう反応をする。結果は…

「ごめんなさい!北村君。あの、えっと私、携帯持ってないの。ごめんなさい」

断られて、走り去って行った。

だが僕ははっきりと覚えている。僕が頭を下げたとき確かに望月さんのカバンからは着信音が鳴り響いていた。

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青春実 広川 海未 @umihirokawa

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