この世の果て

天川裕司

この世の果て

タイトル:この世の果て


世界は戦争の世の中になった。

ついこの前まで戦争回避、大丈夫…

そんな安全神話がなんとか打ち建てられていたが

戦争になってしまった。


そしてつい先日、

ある国へ核ミサイルが撃ち込まれた。

これをもって世界は核戦争へと突入し、

俺が住んでるこの日本も

核ミサイルが撃ち込まれる

その対象の国になったと言う。


俺はウォーキングに行った。

これまでの生活と変わらない

その日課であるウォーキング。


やっぱり周りがどんな状況になっても

自分の生活を変えると言うのはしたくないものだ。


これまでのいろんな思い出を一緒に、

そのウォーキング途中で振り返った。


小学校からこちらずっと、

ここに住んできた俺。


「…ここで昔友達とローラースケートしてたなぁ」

「あ、ここじゃ野球とかキャッチボールとか…」

「ここでミニ四駆を走らせてたねぇ」

「あの頃みんなと一緒に卒業したこの小学校。わが母校。もうみんな今じゃぁそれぞれの家庭を持って散り散りになってるけど、どうしてるかなぁ」

「…ここで父さんと野球の練習してたなぁ。バットは上から振りおろせ、振りおろせ、ってよく教えてくれてた」

「この竹やぶ…昔からここにずっとあってくれたね。嬉しいもんだ。あの清少納言の気持ちをあの時の俺に与えてくれてた」

「この道はじいちゃんと、あの時ホームステイしてた女の人と一緒に歩いてたなぁ。愛犬のチビも一緒に」

「それから中学校、高校、いろんな思い出がある。初めて高校の時の友達とカラオケに行った時、確か自転車に乗ってこの道を走ってたんだよなぁ俺。その帰り道もきっとルンルン気分で楽しかったんだろ」

「専門学校も、就職して介護士として働いてきた時も、ずっとこの道をバイクとか車で走ってた」

「…本当に不思議なもんだ。…これまでの思い出が、歴史から見ればたかだか何十年の歴史かもしれないけど、その全てがここに詰まってるんだ」


暗くなっていたから空に星が出てる。

俺は夜空を見上げた。


「…ああ、あのオリオン座、すごいもんだw何千年も前からあのままの形だったんだろうか。歴史の人もあのオリオン座の形を見てきたんだろうね」


「あ、あれはカラス座かなぁ。月の横に出てるね」


少し肌寒い風。

11月の道ながら、

その肌寒い風と一緒に過去を振り返ってゆく。


辺りは暗く誰も居ない。ただ向こうのほうに

車のテールランプが少し消えたりついたりしてて、

そのそばに人が居る事をなんとなく知らせる。


民家は静かに佇んで居る。いつもの表情、光景。


家に帰れば父さんと母さんが

いつものように生活してるんだろう。

本当に感謝なこと。神様に感謝する。


この道、とりあえず、いつまで歩けるかなぁ。

戦争になってしまったら、

もうこの道歩けないのかなぁ。


実際、戦争に深く巻き込まれ、

ミサイルが空から飛んできたり

昼夜問わず脅かされ続けたり、

軍隊・兵士がその道を

闊歩するように進軍してきたり、

そんなのがまだはっきりとイメージつかない。

実感として体験できないのである。

だからわからない。


でも想像力だけは先走る。

神様が与えてくださったこの賜物、感性、

主義主観、感覚、直感、心、

それをもっていろんなことを想像でき、

考えることもでき、感じることができ、

こんなことも記せるのである。

全てを神様に感謝できる様に。


そして、民家の横の道を通り抜け、

小学校裏のいつものあの緩い坂道に差し掛かった時。

まるで待ってたかのように、

学校の敷地内からその路面へ降りるまでの

浅い階段のところで

1人の女の人が前かがみになってしゃがんでおり、

俺が来たのを見計らうとスックと立ち上がり、

少し他人を装うように、

また知人を装うようにしてこちらへ来た。


瞬間「なんだろう」と思った直後、

「こっちの門の所まで来てみない?早く早く」

と誘ってきた。


「…は?」とか思いながらも

しばらく他人と接して居なかった俺は

やはりそこにメリハリを見て、

異性から声を掛けられたのを嬉しく思い、

ついて行く。


すると行ったところに

周りの輪郭が少しきらびやかな感じの門があり、

そこを指して女の子は何か言ってたようだ。

すぐにわかる。そこに入れと言うのだ。


そして入った瞬間…その直後のこと。


(日本を含む世界が核の炎に包まれる光景を見る)


父「ユウジ、お前もここへ来てたんかぁ。いやわしらも部屋の中で急にドアみたいなんが現れて、なあ?」

母「急に、光みたいなんと一緒に現れたんよ。そんでお父さんと一緒に入ったんよ」


そこにはいろんな知ってる人達が一緒に居てくれた。

門に案内してくれたあの子は

どこかに紛れて居ないと思ってたが、

向こうのほうに居た気がする。

「兄弟姉妹共にここに…」

俺は押し寄せる喜びを予感しながら、

父さん母さんと一緒にその光の方へ歩いて行った。


多分こんな光景と成り行きが、

皆んなそれぞれの元にあったんだろうと知りながら。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=3x42suxhvLw

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