冷淡男子の上條くんは全振り初カノにご執心

５

　廉の言葉でボンッと顔から火を噴いた。

　もう恥ずかしすぎて顔が上げられないんですけどっ。

　貰い事故のように近くにいた女子も赤面する。

「もうそこまで言われたら、2人を応援しちゃう！」

「俺もっ！ってか、俺も彼女欲しいぃぃ～」

「あ、小森はダメっすよ？」

　尚も結界を張り巡らす彼。

　揶揄う先輩方相手でも、無表情を通り越して猛毒的な視線を振り撒いてる。

『視線すら合わすな！』と脅すような表情で。

――――最強すぎる。そのメンタル、どこに売ってんの～？

＊

　学校を出て、最寄り駅のホームでの電車待ち。

　まどかは隣りにいる上條をじっと見上げた。

「1つ質問してもいい？」

「幾つでも」

　真っすぐ前を見ていた廉が、まどかの言葉にパッとまどかに顔を向けた。

「何で、私なの？」

「ん？……あ、俺が小森を好きな理由？」

「……うん」

「う～ん」

　視線を泳がせ、唸り始めた。

「そんな考えないとならないなら別に答えなく「真逆だからってのが1番だけど」

「真逆？」

　被せ気味に言い放たれた言葉にまどかは唖然としてしまった。

「前にも話したけど、俺基本冷めてるから」

「……ん」

「だけど、小森はいつでも必死で熱いだろ」

「それ、馬鹿にしてんの？」

「してねぇよ。そういう所が好きだって言ってんの」

「……」

「勿論、顔だとかスタイルだとかもあるけど、小さくても年が離れてても見た目が派手でも、たぶん惹かれてたと思う」

「っ……、何それ」

「ここが、……ぶわっとすんだよ」

　親指を立てた状態の握り拳。その親指が胸元をトントンと叩く。

「そんな風にここが突き動かされたのは初めてで。俺にもこんな感情があったんだなって、改めて生きてること実感した」

「……」

　予想もしてなかった答えに、まどかの左胸はドクンッと大きく跳ねた。