2
廉とまどかは肩を並べて正門を出て、駅へと向かう。
「この間言ってた……」
『俺が、小森を好きなんだけど』という彼の言葉がずっと気になっていて、まどかは俯き加減で何て聞けばいいのか、言葉を選んでいると。
「あれは嘘じゃない。俺、小森のことが好きだから」
「っ……」
「小森が俺のことを好きかどうかは気にしてない」
「……(へ?)」
「今は好きじゃなくても、好きになって貰えるよう努力するつもりだし」
「っっ」
「俺以外の奴が小森に近づけないように、結界張るから、俺」
「結界?」
「ん、結界」
再び爆弾発言とも思える言葉を耳にしたまどか。
隣りを歩く上條くんは、色気のある笑みを浮かべ、まどかの頭を優しく撫でた。
*
「えっ、……降りないの?」
「ん」
「何か、用でもあるの?」
「ん。小森を送り届けるミッション遂行中」
「は?……えぇっ」
いつも降車する虎ノ門ヒルズ駅に到着しても上條くんは降りず、まどかをサラリーマンから守るみたいに目の前に立つ。
仄かに香るミントの香りと間近から見下ろされる視線で、まどかの鼓動はけたたましく鳴り響いていた。
**
翌朝登校するために、自宅から程近い最寄り駅の人形町駅に着くと。
「ッ?!」
「おはよ」
「……おはよう。いつからいるの?」
「30分くらい前?」
「えぇ~っ?!」
改札口に上條くんがいた。
朝から目立ち過ぎ。
普段は見かけないイケメンが突如現れたからだと思うけれど、OLや学生の視線が彼に向けられている。
「長瀬はどこの駅?」
「……隣りの駅」
「乗る車両とか決まってんの?」
「……大体は」
「じゃあ、俺もそれに便乗する」
「っ……」
今は何を言っても無理そうだ。
学校では絶対に見せない、爽やかな笑顔で見つめられては……。
私の何がそうさせるのかは分からないけれど、その笑顔、心臓に悪いよ。
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