クラスメイトの唐突な投げかけ。

 超ストレートなその質問に、さすがの廉も目を見開く。


「だって、小森が怪我した時に駆け寄って助けたんだろ?」


 助けたことも、自ら抱えて保健室へ駆け込んだことも。

 そして、結城らが停学処分になったと知らされたこともあって、クラスメイトの関心が廉とまどかに向けられている。


 廉はチラッと小森に視線を向けた。すると、小森が困ったような表情を浮かべた。


「別に付き合ってねぇよ」

「えっ、マジで?」

「だって、上條と小森のデート写メ、あれ本物じゃん」

「……だから?」


 廉の冷視線が振り撒かれる。

 一瞬にして周りを凍らすほどの冷気を纏っている。


 そんな廉の肩にポンと手を乗せた朝陽。

『今、認めとかないと後悔するぞ』

 ボソッと廉の耳元に呟かれた朝陽の言葉に、廉の心がざわつく。


 現時点では付き合っていないし、まどかとの間にそういう話題にすら上がったことがない。

 けれど、デートしたのは事実だし、廉の気持ちは――――。


「付き合ってはいないけど、……俺はそういう関係に発展させようと思ってる」

「えっ?!」

「えぇ~っ?!!上條くん、それってどういうこと??」

「そういう関係って……??」


 廉の爆弾発言にクラスメイトの視線がまどかと廉に集中する。


 驚愕の表情や落胆の表情を浮かべるクラスメイト。

 朝陽は『やっと認めたか』と、穏やかな表情で廉を見守る。


「俺が、小森を好きなんだけど?……それが、お前らに何か関係あんの?」


『文句があるなら言ってみろ』と言わんばかりの威圧した視線。

 多くのクラスメイトの前で、堂々と宣言したのだから、言い返す言葉もない。


「分かったら、油売ってないで片付けろや」


 悲壮感に満ちた女子を横目に廉は小森に視線を送ると、慌てふためく小森がいた。

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