文化祭当日に怪我人が出たと大騒ぎになり、一時は騒然と化した状態になったが、廉と朝陽が担任や学年主任、教頭などに事情を説明し、当事者である女子生徒との説明とも一致することもあり、文化祭即刻中止という最悪の事態は免れた。


 とはいえ、何のお咎めもないということにはならず。

 結城や他の生徒3人には停学5日間、園田に至っては停学2週間が言い渡された。


 都内有数の進学校ということもある。

 文化祭という、多くの人の目がある中で起きた事件。

 悪い噂があっという間に広まってしまった。


 まどかは複数箇所の打撲と左肩関節脱臼で全治3週間。

 関節自体は救急搬送先の病院ではめて貰ったが、再発防止も兼ねて経過観察がとられた。


 週明けの月曜日。

 まどかは左腕を固定した状態で登校した。


 元々授業はなく、丸1日文化祭の後片付けにあてられている。

 途中から不参加となったまどかは、文化祭の後片付けをしながら余韻を味わっていると。


「小森」


 職員室から戻って来た廉が、まどかに声をかけた。


「……助けてくれて、ありがとう」

「別に俺は何もしてねぇよ」

「先生から聞いてるから。……また、助けて貰っちゃったね」


 苦笑するまどか。

 そんなまどかの頭を一撫でし、廉は優しく呟く。


「何度だって助けるよ、……相手が小森なら」

「へ?」

「怪我してんだから、保健室で休んでろ」


 廉は微笑し、後片付けをしている朝陽の元へと向かう。

 すると、廉と朝陽の元にクラスメイトがどっと駆け寄った。


「上條っ、小森と付き合ってんの?」

「は?」


 駆け寄ったクラスメイトのうちの1人が発した声が、教室内に響き渡った。

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