6
廉が小森達の後を追って特別教室がある西棟へと辿り着いた、次の瞬間。
階段の上から小森が廉の数メートル先に転げ落ちて来た。
ダンッと大きな嫌な音が廉の耳に届いた。
数メートル先に倒れている小森に廉は慌てて駆け寄る。
「おいっ、小森っ!しっかりしろっ!!」
「……んっ……っ」
横たわるまどかの脇に駆け寄り、怪我の具合を確認する廉。
強打した痛みに顔を歪め、瞼が開きそうで開かない。
物凄い勢いで見上げた廉の視線の先には、少し前に小森を連れ出した5人がいた。
「ヤバいよっ」
「先生呼んで来るっ!」
上條に1番近くにいた女子生徒が階段を駆け下り始めた、その時。
「てめぇらッ!!そこから一歩も動くんじゃねぇッ!!」
廉は発狂するように大声を上げ、ギロッと恐ろしいほどの視線を向けた。
下りかけていた女子の足がピタッと止まる。
すぐさまズボンのポケットからスマホを取り出し、朝陽にコールする。
「朝陽、悪いっ、小森が階段から落ちて怪我した。今すぐ西棟の階段まで先生連れて来いっ」
朝陽の返事も聞かず、廉は通話を切った。
「小森っ、……聞こえるか?」
「……んっ」
「痛い所は?頭は打ったか?」
「頭は……大丈夫っ、肩が……っっ」
会話が成り立つことから、脳に重度のダメージは無さそうだとホッと胸を撫で下ろす廉。
肩に手を当て痛みを訴えるまどかを捉え、外傷が他にないか目視していた、その時。
「廉っ!!」
「上條っ、どういうことだ?!」
「先生っ、あいつらが小森を呼び出して、階段の上から突き落とした」
「はぁっ?!」
「小森が階段から落ちて来るのをこの目で見たんです、俺!小森を保健室に連れて行くんで、先生、後はお願いしますっ」
「お願いしますって、他の先生を呼ぼ「すぐに連れて行きたいんでっ!朝陽、悪い、後頼んだ」
「おぅ」
廉は動揺する担任を目で制し、まどかを抱き上げ、保健室へと急いだ。
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