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 電車内での2人の様子だ。

 ハーフアップの髪になっているということは、数日前にお昼休みに和香がセットしてくれた日の放課後だというのが分かる。

 確かその日なら、和香と藤宮くんも一緒にいたはずなのに。何故か、切り取られたようにまどかと上條くんだけが写っている。


「上條くんがこんな顔するの、小森さんといる時だけじゃない」

「……そんなこと言われても」

「じゃあ、何?こんな顔させといて、彼女じゃないって言えるの?」

「……本当に付き合ってないの」

「そんな言葉、信じらんないからっ!」

「きゃっ………ッ……」


**


 教室の入口で案内役をしていた廉の視線の先に、小森が女子5人に囲まれ連れて行かれるのを捉えた。


「朝陽、悪いっ、ちょっと行って来る」

「へ?あっ……ん、いいよ~♪行ってらっしゃい」


 廉の指差す先にいたまどかを見つけ、朝陽は廉に笑顔で手を振る。


「ホント、廉可愛くなったなぁ~」

「朝陽くん、……上條くんは?」

「あいつ、ちょっとトイレみたい」

「……そうなんだ」

「次の人、どうぞ~♪」


 朝陽は教室の入口に並ぶお客さんに笑顔を向ける。

 レンタルコスプレ写真館は大盛況で、朝から順番待ちの長蛇の列だ。


「わぁ~、あの人凄いイケメン!」

「玄関にあったポスターの人だよね?」

「リアル王子様だよっ」


 他校の女子高生がキャッキャと騒ぐ中、朝陽は天然の王子スマイルでもてなす。


「あのっ、一緒に写真取って貰えますか?」

「私達と一緒にお願いしま~すっ」

「え、僕でいいの?」

「是非ぜひ!!」

「追加料金発生するけど?」

「「構いません!!」」

「お買い上げありがとうございま~す♪」


 基本コースはコスプレ衣装の時間レンタル。

 1ショット、2ショット、3ショットコースで撮影料が加算されるものがある。

そして、モデル追加コースというのがあり、朝陽や廉と一緒に写真を撮れるものまであるのだ。

 朝陽のたらしぶりが発動し、2年2組の売り上げは上々のようだ。

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