「では、うちのクラスの文化祭の出し物は、レンタルコスプレ写真館に決定します」


 文化祭の出し物を決めるために意見を集い、集計の結果、レンタルコスプレ写真館に決まった。

 クラス全員で自前の服や小物を持ち寄り、レンタルで衣装を貸し出し、その場で記念撮影したりするというもの。

 30分の時間貸しもあり、文化祭当日にコスプレで模擬店を回ることもできるというものだ。


 客寄せとして朝陽と廉がイメージキャラクターとして宣伝ポスターのモデルに決定。

 そして、近隣の学校の生徒が来ることも予想し、ある程度のコンセプトを幾つか決めることとなった。


 袴や浴衣を使用しての和装仕様、ドレスやスーツを使用してのパーティー仕様、パジャマや部屋着を使用しての和み仕様。

 その他にも、デート仕様や習い事仕様などコンセプトは様々。

 各自、自宅にある服や調達できる服装品を写メして、衣装の一覧表(カタログ)を作ることとなった。


**


 文化祭当日。

 9月下旬ということもあって、少し秋風が吹き抜けるような晴れ渡った土曜日。


 学校周辺の公共交通機関や病院、店舗など至る所に文化祭のポスターを貼らせて貰ったお陰で、朝から沢山のお客さんが来校している。


 朝陽と廉は、ビシッとスーツ姿でお客様を出迎える案内役。

 お陰で2年2組の前には朝から長蛇の列だ。


 まどかはクラス委員として、生徒会や実行委員の仕事もフォローしながら、12時近くになって漸く自分の教室へと戻って来れた。


「小森さん、ちょっといい?」

「あ、……うん」


 クラスメイトの結城を始め、隣りのクラスの園田そのだ 真由子まゆことあと数人に囲まれ、まどかは人気のない西棟の階段の踊り場へと呼び出される。


「小森さん。この間、上條くんとは付き合ってないって言ってたよね?」

「……うん」

「じゃあ、これは何?」


 まどかの前に差し出されたスマホの画面に、上條くんと仲良く話すまどかの姿が写っている。

 いつの間に撮られたものだろう?

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