まどかがクラス委員を毎年しているように、隣りのクラスの中島さんも毎年クラス委員をしていて、1年の時から話せる結構仲のいい同級生(女子)だ。


「実はね、うちのクラスでも結構噂になってて」

「噂?」

「うん」

「……どんな?」

「小森さんと上條くんが付き合ってるって。夏休みにデートしたんでしょ?2人で」

「……」

「クラスの子達の間で、2人がデートしてる写メが回ってて」

「え……」

「上條くんってさ、学校では結構塩対応っていうか、凄くクールな感じの人じゃない」

「……ん」

「そんな彼が、歓迎会の時もそうだしさ、何かと小森さんには優しいし。それであの写メの笑顔見せられたら、みんな納得というか……」


 中島さんが言うように、今年に入って何かと上條くんとの接点があるように、自分でも思う。

 偶然電車内での痴漢に遭遇して以来、何度となく彼に助けられて来た。


 クラスメイトの結城さんが言うように、たまたま席が前後なだけで。

 他に特別な接点があるわけじゃないのに。


「本当の所はどうなの?別にみんなに言うとかじゃないんだけど、小森さんの性格からして、彼氏が欲しいって感じはしないから、ちょっと驚きはあったけど」

「……付き合ってはないよ。ただ、何度も助けて貰ったから、その御礼にってことで、映画に一緒に行っただけなんだけど」

「へぇ、そうなんだ。別に付き合ったっていいと思うけどな、私は」

「え?」

「だって、あのアイス王子の顔をあんなにも蕩けさせれるんなら、もう彼女だっておかしくないでしょ」

「っ……」

「暫くは周りの目が厳しいと思うけど、私は小森さんの味方だからね!」


 まどかを励ますためにポンポンと肩を叩く中島。

 去年のクラス委員も一緒だったから、意外と離せる女子ではあるけれど。

 この手の恋バナは一度もしたことがなくて、まどかはちょっと恥ずかしいような何とも言えない感情になった。



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