冷淡男子の上條くんは全振り初カノにご執心

突然の告白宣言

１

　残暑厳しい9月。

　夏休みが明け、2学期がスタートした。

　クラス委員のまどかは、文化祭の準備をする為の会議に連日出席し、忙しい日々を過ごしている。

　文化祭実行委員が設けられているが、クラス委員は無条件で駆り出されることになっていて、担当する係の仕事を黙々とこなす。

「和香、ごめんっ！今日も帰りに会議があって、一緒に帰れない」

「うん、分かった。夜に電話するね～」

　放課後、文化祭実行委員の会議に出席するため、荷物を纏めるまどか。

　すると、前の席の上條くんの視線を感じた。

「また明日」

「あ、うんっ。また明日ね」

　ボソッと呟いた廉。

　まどかも他の子に聞こえないくらいの小さな声で答えた。

　夏休みのあの日以来、何度かメールを交わした2人。

　別に恋人同士でもなければ、一緒に勉強するような仲でもない。

『宿題終わった？』『殆ど終わってる』的な簡易メールのやり取りのみ。

　だけど、確実に2人の距離は縮まった気がする。

　朝陽と共に廉が教室を後にした、その時。

　まどかの元に女子数人が駆け寄って来た。

「小森さん」

「……はい」

「上條くんとどういう関係？」

「どういうって……？」

「2人は付き合ってるの？」

「へ？」

「夏休みに東京駅でデートしてたでしょ」

「っ……」

「3組の子が小森さんたちを見たらしくて、写メ送って来たんだよね～」

　クラスメイトの結城（ゆうき）小夏（こなつ）がスマホの写真をまどかに見せる。

　そこに写っていたのは、まぎれもなくまどかと彼だった。