ピザやパスタ、フォカッチャが美味しいというお店でランチをし、暑さから逃れるために東京駅構内のショップを廻ることになった。


「上條くんって、身長何センチ?」

「……182センチ」

「たっか~いっ!」

「兄貴は俺より少し高いよ」

「お兄さんいるんだ」

「ん、8歳離れた兄が1人いる」

「へぇ~、8歳ってことは25歳?」

「ん、今年25歳」

「結構離れてるんだね」

「ん~、そうかも」


 東京駅ならではの観光客用の土産物店を梯子はしごし、普段あまり見ないような和物雑貨を見て楽しむ。

 夏休みということもあり、どのお店もお客が沢山いて、自然と2人の距離も近くなる。


 周りから見たら、完全に恋人同士だと思われているだろうなと思った廉。

 無意識に頬が緩んでいた。


「なぁ、小森」

「ん?」

「なんか、欲しい物とかないか?」

「え?」

「今日の御礼に何か買わせて」

「えぇー、いいよ~っ、お昼ご飯だって払って貰っちゃたし。御礼のつもりが御礼の御礼になってるよっ!」

「いいじゃん、別に」

「良くないからっ!私の方こそ、何か上條くんに何かプレゼントするよ」

「いや、それは気にしなくていいから」


 ちょっとした小競り合い。

 初々しい感じもするが、店頭でするのはちょっと迷惑がかかる。

 店員さんの視線を感じて、廉はまどかの手を掴んだ。


「喉乾いた。ちょっとどこかで休もう」

「あ、……ん」


 触れる手のぬくもり。

 小森の体温。

 

 白魚のように白く細い指。

 ぎこちなく握り返される彼女の手に嬉しさが込み上げながら、そっと指先を絡めた。

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