2
登校日だから授業はなく、学校は半日で終わり。
帰りのSHRも終わり、クラスメイトの子達が次々と帰ってゆく。
「廉、帰ろう」
「あ、わりぃ、ちょっと待ってて」
「ん?」
廉は後ろの席にいる小森に視線を送る。
「えっと、ここじゃなんだから……渡り廊下横の階段の所でもいい?」
「ん」
「え、何なに?」
朝陽がまどかの言葉に反応するように、興味津々な目で二人を見る。
「まどか~、もう済んだの?」
「ううん、まだ」
和香に事前に相談してあるまどかは、和香に助けを求めた。
「藤宮くん、上條くん、ちょっとついて来て?」
「……何なに~?」
楽しそうな表情の朝陽。
空気を読んで、朝陽は廉とまどかに何かあるのだと理解し、和香の言葉に乗ることにした。
他の生徒が下校する為に東棟の階段を下りて行く中、まどか達は特別教室しかない西棟へと続く渡り廊下の脇にある階段を上った先にある踊り場に辿り着いた。
「ごめんなさいっ、こんな所に呼び出して」
「いいよいいよ、そんなこと。俺と和香ちゃんで見張ってればいいんでしょ?」
「え?あ、ううん、藤宮くんも一緒に」
「へ?」
てっきり見張り役を頼まれたのだと思った朝陽は、驚いて和香の顔を窺った。
すると、和香はにこりと笑い、小さく頷く。
「えぇっと、これを渡したくて」
「映画のチケット?しかも、何これ、すげぇいっぱいあるじゃん」
まどかは鞄から封筒を取り出し、十数枚ある映画の無料招待券を2人に見せる。
「『Rainbow Bridge』っていう芸能事務所知ってるかな?来栖 湊とか
「知ってる、最大手じゃん!俺、たまに雑誌モデルしてるからその事務所は当然しってるし、トップ女優と超人気のシンガーソングライターじゃん!俺、SëIの曲よく聞くよ」
朝陽が目を輝かせて、スマホに入っているSëIの曲リストを立ち上げ、それをまどかに見せた。
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