「そう言えば、虎太郎君も今日来てるよ」

「え?」

「高校に入ってからあまり会えてないからって、朝陽君が虎太郎君の分も予約入れてくれて」

「そうなんすね」

「終わったら、3人でいっぱい遊んでおいで~」

「はい」


 津田つだ 虎太郎こたろうは、廉と朝陽の幼馴染。

 自宅が空手道場で、父親が元オリンピックの金メダリスト。


 高校は廉と朝陽のいる進学校ではなく、空手が強豪の高校(白修館)に進学した。

 毎日部活と自宅での練習が忙しく、空手中心の生活をしているらしい。


 *


「虎太」

「廉っ!」

「見ないうちにますますデカくなったな」

「朝陽だけかと思ったら、廉もいたんだ」

「悪いな、俺もいて」

「いや、そういう意味じゃ」

「フッ、分かってるって」


 向かいの個室から出て来た虎太郎とグータッチを交わす。


「すみません、朝陽はもう終わってますか?」

「朝陽君なら、待合室にいる女性と話してますよ」


 近くにいたスタッフに声を掛けると、案の定、朝陽は女性とトーク中らしい。

 ったく、放っておくとすぐこれだから……。


「さすが、朝陽」

「だな」


 虎太郎と一緒に待合室に行くと、20代の女性2人と楽しそうに会話してる朝陽を発見。


「朝陽」

「おっ、2人とも終わった?」

「おぅ」

「さっき話した、幼馴染の2人です」

「やだぁ~っ、3人ともすっごいイケメン♪」

「今時の高校生って、こんなレベル高いのッ?!」

「今日この後時間あったら、ご飯でもどう?お姉さん、奢っちゃう♪」

「あ、すみません。俺ら3人で遊ぶ約束してるんで」


 あえて遊ぶ約束はしてないけれど、俺の顔色を汲み取った朝陽は、さらっと断った。


「それじゃあ、またどこかで。廉、虎太、行こう」

「おぅ」


 残念そうな顔をする女性2人に会釈し、朝陽は俺らの元に来た。

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