涙を隠すLサイズ
1
夏服が眩しい6月上旬、朝8時半過ぎの教室。
清々しい風が窓から入り込み、長瀬の席で談笑している小森の髪がゆらゆらと靡く。
「うちのクラス、マジで当たりだよな~。長瀬は可愛いし、小森は美人だし」
「小森は美人だけじゃないって。見ろよ、あの脚。すっげぇ、キレイじゃん。それにスタイルもいいしさ」
「そうそう、めっちゃスタイルいいよな。夏服になって、拝み放題♪」
クラスの男子がゲスな会話をしている。
普段は後ろの席だから小森をじっくり見ることはあまり無いが、改めて見てみると、確かにスタイルはいい部類だろう。
小柄の長瀬と比較すると余計にそう思えるのかもしれない。
「今日の長瀬はピンクだろ」
「小森は水色っぽい」
「いや、薄い紫だろ」
何の話だ?
毎日毎日飽きずに何をそんなに白熱したトークが出来るのか。
俺の近くで会話すんな。
目障りだし、耳障りだ。
「朝陽、アイツら何の会話してんの?」
「ん?……あぁ、女子の下着の色じゃない?」
「は?」
くだらねぇ。
ブラウスに透けてる下着の色を話のネタにするとか、お前ら、そんな事を口にしてるからモテねぇんだよ。
「和香ちゃんはもふ可愛い系で人気だし、まどかちゃんは色気のある美人系で2人とも結構人気だよ」
「へぇ~」
「廉ならどっちが好み?」
「……興味ねぇ」
「あ~だよねぇ~。俺なら……ん~まどかちゃんかなぁ。男慣れしてなさそうで、俺好みに仕込みたくなるよね」
「勝手に言ってろ」
お前なら、男慣れしてる女でも自分好みに仕込めるだろうが。
「うちのクラスの女の子、みんないい子だよね~~」
朝陽は、女なら誰でもウェルカムだろ。
ガツガツしてないところが唯一の救いというか。
こいつの性格上、揉めることが好きじゃないしな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます