第13話:ヨコチに白雪 姫のことを聞いてみる。

さて、苦し紛れに、まことしやかなことを姫に言ったが、俺は白雪 姫しらゆき ひめのことも気にかかるわけで・・・

白雪と一度は合って話でもして飯でも食って交流を深めたいと思ってる・・・。


でも、それをやっちゃったら、姫が悲しむだろうな・・・。

好きになった男が他の女にうつつを抜かしてるなんて知ったらどう思うだろう?

そんなことがもし姫に見つかりでもしたら俺は確実に姫に殺されるな・・・。


姫って独占欲強そうだもんな・・・。


後ろめたい気持ちを抱えたまま、どうしたもんかと頭を抱える今日この頃・・・。


そうそう、姫がベランダや台所で誰かと話してる声を俺は聞いた。

家には俺と姫しかしない・・・それは姫の独り言なんかじゃなくて誰かと

話してるみたいなんだ・・・。

またまたホラーだよな。(⌒-⌒; )


俺は姫に見つからないように姫がいるあたりや周りをこっそり見たが姫以外

誰もいなかった。


うん、やっぱりホラーだ。


そういやヨコチのやつとっくに退院してたよな。

たしかヨコチはコミケとかコスプレサミットとかに顔を出してるクチだったはず。

ヨコチも俺と同じでコスプレ好きときている。

ヨコチは俺なんかより上を行っているからコスプレーヤーには人一倍詳しい。


もしかしたら、白雪 姫のことを、けっこう知ってるかもしれない。


そこで俺はヨコチを捕まえて聞いてみた。

でも、その前に、ヨコチは俺に食ってかかってきた。


「おまえ〜、姫ちゃんの彼氏になったって聞いたけど、それほんとか?」

「おまえら兄妹だろ?・・・いいのか兄妹で付き合って・・・」


「ああ〜・・・それな・・・ちょっとややこしいことになってるんだよな」


俺はヨコチに美幸と姫とのあらましを言って聞かせた。


「なんだ、それ・・・仮の彼氏って・・・」


「じゃ〜姫ちゃんとはなんでもないんだな・・・」


「それが、なんでもなくないんだな、これが・・・」


「どういうことだよ」


「俺は、一時は姫の偽の彼氏だったんだけど、美幸とのことが一段落ついて、

俺の仮の彼氏も解消したはずだったんだ・・・。

それが今度は正式に姫から彼氏になってくれった告られた」


「なんだよ、それ・・・やっぱりおまえら、そういうことになってるんじゃ

ないかよ」


「悪いな・・・」


「だけど、俺は姫ちゃんのこと諦めてないからな」


「なんでもいいけど・・・おまえ、病院送りになってまだ懲りてないのか?」


「俺は姫ちゃんを初めて見た時から彼女に魅入られてるんだ・・・

あの制服姿だって俺にはコスプレに見えるし、あんなに非現実的でめちゃ

可愛い女の子は見たことない」


「そうとうやられてるな・・・」

「あのな、悪いことは言わないから姫のことはあきらめろ」

「断言しといてやる・・・姫を好きになったら絶対後悔することになるぞ・・・」


「なんでだよ」


「おまえが本当の姫を知らないからだよ」


「じゃ〜付き合ってくれと言うのは置いといて、せめてお友達になれないかな?」


「まあ、友達くらいならおっけ〜なんじゃないか?」

「俺から姫にそう言っといてやるよ」


「ありがとうツッキー・・・」

「おまえにツッキーって呼ばれる覚えはない・・・俺のことをそう呼べるのは

姫だけだ 」


「それはそうと、おまえ白雪 姫のこと知ってるか?」


「おう、よく知ってる俺、彼女も好きなんだよな・・・コスプレーヤーとして

だけどな」


「気が多いやつだな・・・」


白雪はコスプレ会では、かなり売れっ子のコスプレーヤーらしい。

ヨコチともコスプレ会に行って白雪に会ってるって言うじゃないか。

いつの間に・・・。


俺はヨコチに白雪に会えないか聞いてみた。


「それなら今度、埼玉スーパーアリーナのコスプレ大会に白雪もコスプレで

出るから行ってみたら・・・俺も行くつもりだから・・・」


そうか・・・って言ってみたが、なにもイベントになんか行かなくても姫の

クラスの行けば、普通に白雪に会えるわけで、あえてヨコチに紹介してもらうまでの

ことはないんだけど・・・

問題は姫・・・・白雪に声をかけてるところを姫に見られたら絶対マズいし・・・。


だから教室では声はかけられないわけで、結局イベントに行くことに

なるのか・・・。

それに俺は制服の白雪じゃなくて、ブルーヘブン・ファンタジーのキャラ

「セルジュ・フォン・ヴァルデック」のコスプレをしてる彼女が見たいんだ。

俺は彼女自身じゃなくて、セルジュ・フォン・ヴァルデックに惚れてるのかも

しれない。


そういう意味では制服の白雪には興味はないって言えるのかも・・・。


「あのさ、おまえ姫ちゃんと恋人同士なんだろ?」

「白雪と二股たかけたら、それはルール違反だぞ・・・」


「分かってるよ・・・だから俺も困ってるんだよ」

「つうかさ・・・俺、コスプレイベント自体、見に行けそうにないわ」


「なんでだよ・・・」


「考えてみたら休みの日は姫が金魚のウンコみたいに俺にくっついて

離れないんだわ・・・」

「気がついたらいつの間にか俺の横にいたり背後にいたりするし」


「なんだよそれ・・・ノロケか」


つづく。

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