第12話:繰り返される満月の夜。

俺が姫に返事をする前に、また満月の夜が来た。


相変わらず姫は俺の部屋にやって来る。

ドアに鍵なんかかけたって蹴破られたら修理しなきゃいけなくなるから

鍵をかけるのはやめた。


姫は俺の部屋のドアから顔だけ覗かせて言った。


「ツッキー・・・エッチしよ?」


「そんなところからエロい声出してもダメだ」


「彼氏になってくれるって・・・決心ついた?」


そう言いながら姫は部屋に入ってきた。

またパンツしか履いてない・・・もう慣れたけどな・・・。

だからもう服を着ろって言わない。


「決心なんかついてないよ・・・考える時間なさすぎ・・・」


「なに、迷うことあるの?」

「そんなに私、魅力ないかな?」


「そんなことはないよ、むしろ魅力だらけだよ」

「だからってエッチはやらねえ・・・何度来たって、やらねえもんはやらねえ」

「前にも言ったけど未成年はダメだって・・・」


「だから〜誰にも言わなきゃ分かんないってば・・・」


「毎回、同じこと言い合ってるぜ、俺たち」


「ツッキーがエロくならないからいけないんでしょ?」


「エロくなってるよ・・・だけどやっていいことと悪いことくらい

分別つくつもりだよ」


(俺だって、このままやっちゃいたいって思うよ)


(でも一度、姫の誘惑に乗ってエッチしたら、その先はどうなる?)

(俺は満月の夜だけじゃ物足りなくなる自信はあるし我慢できなくなる

自信もある)


言い換えれば、満月の夜しかエッチできないわけだろ。

満月の夜以外はエッチできない訳で悶々とした日々を送るのか?

そんなの耐えられそうにないわ・・・。


「あのさ・・・俺、決めたから・・・」

「姫の彼に正式になってやるから今夜は黙って自分の部屋に帰れ」


「本当に?」


「本当、本当・・・嘘じゃなくて、あとで知らなかったなんて言わないから」

「な、だから今夜は帰れ」

「正直、おまえを見てると我慢できなくなりそうだわ」


「我慢しなくていいんだよ・・・ね、抱いていいんだよ?」

「私の彼氏になったんだから、変態行為しても起こらないから・・・」


「普通のエッチもまだなのに、なに言ってんだよ」

「そんな目で俺を見るなって」

「それよりさ、親父になんて言えばいいんだ・・・俺たち好き合ってますって?」

「だからもうエッチもしましたって言うのか?」


「だから、黙ってれば分かんないってば」


「俺はさ、後ろめたいことをして、それを黙っておくなんてできない

タチなの・・・」

「そう言うのを心に溜めておくと汚いものがどんどん蓄積していくんだよ」

「あのさ・・・ちょっと調べて見たんだけどな・・・」

「日本の法律ではさ・・・女性は16才から結婚できるみたいだし、

そういうことが前提ならエッチだってしてもいいみたいだけど、

でもそれは親の承諾があってのことだから今の俺たちには当てはまらないの」


「だから今、俺がおまえとエッチしたら法律に触れてしまうわけ。

おまえが今、18才なら大丈夫なんだけど、だからおまえが18才になるまで、

おまえとは俺はエッチできないんだよ。

おまえが大丈夫な歳になったら、そしたら、おまえの同意さえあれば

おっけ〜ってことになるんだから」


「だからおまえは自分の18才の誕生日の日まで待ってなきゃいけないんだ」

「あと数ヶ月だろ?」

「俺は以前に、これはモラルの問題だって言ったよな?」

「おまえがちゃんとした大人の仲間入りしたら、その時はだな・・・」


「エッチしてくれるの?」


「たぶん・・・おそらく・・・じゃないかなって思う・・・」


「なにそれ・・・私が18歳になったらって言ったでしょ?」


「分かった・・・俺は言ったことは絶対守るから・・・」


「約束だよ・・・」


「ああ、約束」


姫はとりあえず、それで納得、したのかどうか分からないけどムラムラする

って言いながら自分の部屋に帰って行った。

振り向きざまに俺に向かってアカンベーをして行った。


よく考えたら可哀想だよな・・・あんなにムラムラしてるのに俺に拒否ら

れて・・・こんなこと続けてたら姫はいつかマジキレしそうだな。


「姫の言ったとおり誰にも言わなきゃ分かんないことなんだけど・・・」

「俺が固すぎるのかな、間違ってるのかな・・・」


つづく。

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