26 砂塵の戦慄

砂嵐の中心、俺は砂を切り裂く手応えを感じながらも、それが虚しいことを悟っていた。

刃を振るうたび、切り裂かれた砂が俺を嘲笑うように再生し、迫ってくる。

サンドハイドラの狡猾な動きに、俺の神経は研ぎ澄まされていく。


「逃げ場はないぞ」神威の低い声が脳内に響く。

その静けさが逆に俺を冷静に保つ。


砂は生き物のようにうねり、俺の足元を絡め取ろうとする。

突如として膨れ上がる砂塊から、無数の蛇の頭が出現した。

その動きは迷宮の中に潜む悪夢そのものだ。


「再生を封じ込めるには核を見つけるしかない」

俺は神威の言葉に応じ、周囲の砂の動きに目を凝らす。


次々と襲いかかる砂の頭。

その一つ一つが執拗に俺を仕留めようと動き続ける。

俺は霊刃を振り抜き、凍てつく魔法の気配を纏わせた。


「砂は流動性を失えば無力だ。氷結で動きを封じる。」神威の助言が確信に変わる。


俺は魔法陣を展開し、霊刃を振るいながら冷気を解き放つ。

吹き荒れる冷気が砂嵐を凍らせ、サンドハイドラの動きが鈍る。


俺は一気に

黒炎の力を纏わせ

凍りついた砂を

切り裂く


その刃が核心に届く瞬間、砂の嵐が大きく揺らぎ、ハイドラの悲鳴が響き渡る。


俺の刃先から黒炎が爆発的に広がり、ハイドラの再生能力を完全に封じ込めた。

最後の断末魔を上げながら、ハイドラの巨体は砂塵となって崩れ去った。


俺は深呼吸をしながら、砂の中に埋もれていた魔石を拾い上げた。

その輝きに、さっきまでの激闘を思い返す。


息を整えながら、魔石を拾い上げ、戦闘後の冷静な心境を保つ。


「やっと終わったか…」手に持つ魔石を見つめながら呟いた。


その後、戦闘の振り返りを行うため、近くの茶屋に足を運ぶ。

そこでは、戦いの疲れを癒すためのひとときが待っていた。

茶屋の温かいお茶をすすりながら、修羅は神威との会話を交わす。


「次の戦いが楽しみだ」

満足げに言った。


「少し休んだ方が良い」

神威は冷静に答えた。


神威の言葉に少し考え込みながらも、再び次の狩猟場に向かう準備を整えていた。


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