21 選ばれし者
濃密な霧が谷を埋め尽くす中、湿地を抜けた先に広がるのは、異様な静寂に包まれた広場だった。
空気は肌を刺すような冷たさを帯びているが、その奥底には圧倒的な重さが潜んでいる。
一歩足を踏み出すごとに、全身が押しつぶされるような感覚が広がる。
「修羅、この場はただの狩猟場ではない。ここに立つ者を選別し、その力を測るような場だ」
神威の声が霊刃を通じて低く響いた。
「測るだと?俺はそんなものに興味はない。狩るだけだ」
冷静に息を整えながら、霊刃を握り直す。
何が現れようと狩猟のルールは変わらない。
霧が一瞬揺れた。
地面が重く震え、広場の奥から漆黒の巨影がゆっくりと現れる。
禍々しい黒炎を纏い、その巨体は空気を裂くように存在感を放っていた――「ダークナイトロード」
漆黒の鎧に包まれた巨人が、剣を片手にこちらを見下ろしている。
「この場でその命を捧げよ」
低く響く声が、空間全体を震わせる。
その言葉と同時に巨人の剣が動き、一瞬で空を切り裂く衝撃波が襲いかかる。
俺は地面を蹴り
横に跳んで
その軌道をかわす
「威力は申し分ないな」
俺は冷笑を浮かべながら、再び巨人との間合いを詰める。
巨人の剣が二度目の斬撃を放つ。
空気が震え、刃先が風を切る音が耳を突き刺す中、俺は空中へ跳躍しながら反撃の隙を探る。
霊刃を
黒炎で纏い
巨人の左肩に向けて
一閃
だが、その外殻は硬すぎる。
刃が弾かれる感触が手に伝わり、傷は浅いままだった。
「神威、奴の外殻は厄介だな」
「その通り。だが、お主の狩りがここで止まるはずもないだろう」
ダークナイトロードが振り返り、再び剣を構える。
その一撃が地面を抉り、土煙が立ち込める。
俺はその動きを見極めつつ、冷静に間合いを測った。
「これで動きを止めてやる」
俺は「影縛りの巻物」を取り出し、即座に展開する。
「影縛り――発動!」
地面に広がった魔法陣が
黒い影を伸ばし
ダークナイトロードの脚元に絡みつく
硬直し
動きが止まる
「今だ!」
俺は空中で魔法陣を展開し、氷結系と雷撃系の二重魔法を組み合わせる。
「凍てつけ――『氷結嵐』!」
「穿て――『雷槍乱舞』!」
冷気が巨人を包み込み、雷撃がその外殻に激しい亀裂を走らせる。
外殻が軋む音が響き、巨人の動きがさらに鈍る。
「さすがにこれで効いただろう」
だが、拘束が徐々に解け始め、巨人が動きを取り戻してきた。
巨人が重い音を立てて動き始め、影の拘束を完全に振り払った。
その剣が再び闇の衝撃波を放ち、俺を狙って襲いかかる。
「まだ足りないか」
俺は再び跳躍し、霧を利用して巨人の視界を遮りながら背後を取る。
「神威、外殻の弱点は背中の接合部だな」
「その通りだが、もう一押しが必要だぞ」
再び空中で
姿勢を整え
黒炎に代わる
火と風の魔法を展開する
「燃えろ――『火焔旋風』!」
巨大な火炎が竜巻となり、巨人の全身を包み込む。
その勢いに乗じて高度を稼ぎ、次の一撃の準備を整える。
ダークナイトロードが剣を振り上げ、最後の反撃を試みるが――遅い。
俺は
高速で接近し
全魔力を注ぎ込んだ霊刃を
背中の接合部へ
叩き込む
「!」刃が核を貫いた瞬間、黒炎が内部で炸裂し、巨人の全身が崩れ落ちていく。
ダークナイトロードの巨体が地面に沈む音と共に、広場に静寂が戻った。
俺は崩れた巨体の中心から輝く魔石を拾い上げた。
手に伝わる冷たい感触と共に、全身に達成感が広がる。
「修羅、お主の力が証明されたな。だが、この先はさらに厳しい試練が待つだろう」
「試練なんてどうでもいい。俺は狩りを続けるだけだ」
俺は霊刃を腰に収め、次の狩猟場を目指して歩き出した。
その背後には、崩れ落ちた巨人の残骸が静かに横たわっていた。
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