10 追跡者たち
森の奥、冷気が全身に刺さるようだ。
白銀の巨体がこちらを睨む。
足元から湧き出る冷気が、地面を覆い、空気を凍らせている。
「奴の冷気は厄介だ。早く決めろ。」
神威の声が頭に響く。俺は頷きもせず、霊刃を構えた。
俺の息が白く滲む。だが、熱はまだ失っていない。
フロストビーストが咆哮を上げた。
瞬間、巨体が地を蹴り、氷の爪が空を裂く。
音が爆ぜる――。
俺は踏み込みを逆に跳ね返し、透明化の術で姿を消した。
背後から冷気が追いすがるのを感じながらも、すり抜けるように回り込む。
「そこだ。」
霊刃を振り抜いた。
黒炎が巻き上がり、白銀の毛が焦げる匂いが鼻を突く。
刃が筋肉を抉り、冷え切った血が弾け飛ぶ。
黒炎が傷口に入り込み、肉の奥で静かに爆ぜる音を聞いた。
だが、フロストビーストは怯まない。
その目が俺を捉えた瞬間、冷気の嵐が巻き上がる。
「足元を取れ!」
神威の声が強く響く。
俺は
瞬時に身を沈め
爆裂魔法を放つ
爆炎が
冷気を切り裂き
巨体の肩を直撃
白銀の毛が焦げ
肉が裂ける音が
重なった
獣の咆哮が轟く――その声が頭に突き刺さる。
だが、迷う暇はない。
再び跳躍。足裏に魔法陣を走らせ、空中で急な角度を取り、霊刃を振り下ろす。
刃が氷の核を捉えた瞬間、冷気が波のように爆発した。
だが、黒炎がそれを飲み込み、凍る空気を一気に熱へと変える。
巨体が揺れ、冷気の嵐が消えた。
フロストビーストが崩れ落ちる音が静寂を切り裂き、血と焼けた肉の匂いが森を覆う。
俺は一瞬息を整え、霊刃を振るい、飛び散った血を落とす。
絶対の快楽に酔いしれる。
神威の声が静かに響く。
「見事だが、次はもっと速くしろ」
「そうだな」
足元の霜を踏み砕きながら歩き出した。
背後には静まり返った獣の亡骸。
俺の体にはまだ熱が残っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。