7 ギルドの興味
朝霧が立ち込める森の中、修羅は静かに足を進めていた。
先ほど討伐したガルムリオの余韻はすでに薄れ、次の狩りへの期待が胸を高鳴らせる。
「修羅、お主の噂がまた広がっているようだ」
神威の声が霊刃を通じて響く。
修羅は一瞬眉をひそめ、答えた。
「例の透明な存在とか言う話か。興味はないが、無駄に騒がれるのは面倒だ」
「ギルドが動き始めたようだぞ。透明な存在が何者なのか、その正体を突き止めようとしているらしい」
修羅は歩みを止め、霊刃を握り直した。
「俺の狩りに支障が出なければそれでいい。だが、もし邪魔するなら容赦はしない」
神威の声は冷静だが、少しだけその言葉に警戒を滲ませた。
「お主が姿を見せれば、人々は混乱するだろう」
「分かってる」
修羅は短く答え、次の狩猟場へと歩を進めた。
その頃、街のギルドでは冒険者たちが集まり、「透明な存在」について話し合いをしていた。
「ブラッドハウンドに続き、ガルムリオまで討伐された。現場には誰もおらず…これは偶然じゃない」
ギルドマスターが重い声で話すと、周囲の冒険者たちが真剣な表情で頷いた。
「目撃者がいない以上、やはり神の使いかもしれない」
「いや、それはただの噂だろう。もっと現実的に考えるべきだ」
冒険者たちの意見が交わる中、ギルドマスターは静かに結論を下した。
「正体を突き止めるため、調査隊を編成する。次の狩猟場に現れる可能性が高い場所を特定し、証拠を掴むんだ」
ギルドの調査隊が動き出すこととなり、街の冒険者たちはさらなる噂に沸き立った。
修羅がたどり着いたのは、大きな岩山に囲まれた谷だった。
ここには、Sランク魔物「フレイムワイバーン」が棲息しているという情報があった。
「修羅、奴は炎を操る空中戦の達人だ。お主の術がどこまで通用するか、試されるだろう」
神威の声に、修羅は微かに笑みを浮かべた。
霊刃を右手に構え、魔力を流し込む。
黒炎が刃を包み込み、ブレスレットの脈動がさらに強くなる。
「行くぞ」修羅は一気に跳躍し、空中で展開した魔法陣から強烈な閃光を放つ。
その光が谷全体を照らし、フレイムワイバーンが姿を現した。
その巨体が空を舞い、燃え上がる炎が翼の端から溢れ出している。
谷全体を焼き尽くすかのような熱気が押し寄せる中、命を懸けた闘いが始まる。
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