第50話

家に帰ると、お店にはお兄さんが。


「ただいま…」


「よー優くん!暇だし話そうぜ?」


「え、はぁ」


捕まった…。二人きりは初だ。


「まぁ、座りなよ」


レジカウンター後ろに置かれてる椅子を勧められた。お兄さんの隣である。…仕方なく座る。義理のお兄さんとか、やっぱり緊張するなぁ。


「俺さー聞きたかったことあるんだよね」


「はぁ、なんでしょう」


「優くんといるかって、どうやって出会ったの?」


「あー、それはいるかさんがバイト先の店長の友達でして、たまたま出会いました」


「ふーん、なるほど」


あまり興味ないみたいだ。


「…お兄さんは?」


「聞きたい?」


なんか目が輝き出したんですけども。


「え、はい…」


「教えてやろうじゃねーか!」


お兄さんはうきうきしている。


「実はな、俺は大学卒業後は海外を放浪していたんだな。先住民族とか、そーゆうの研究してたんだよねぇ~」


「へ、へぇ。海外」


「趣味のようなもんだけどな」


「あ、そうなんですね」


「んで、一時帰国したわけよ。そんで、俺の好きだったハンバーガーを買いに行ったわけさ」


「はぁ」


「でもそのときの俺はな、日本の金を持ってなかったんだ」


「へ、へえ」


そんな客来たら、何も買わせずに帰らせるね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る