第46話
「え、いゃあ、そんな急に…迷惑になるし…」
ダメでしょ、いきなり。
「いいんですかー!?」
え、いるかさん?
「うちは狭いけど、妊婦さんだし大変でしょう?」
「真綾さん、めっちゃ優しいー!」
いるかさんは、奥さんにべったりだ。くっついて離れなくなりそうな雰囲気。
「いいよね?あなた」
奥さんは有無を言わせないような発言を夫に投げかけた。これはかかあ天下というやつなのか。
「まぁいいぞ。いるかには店番してもらうけどな」
「えーー!なんで働かせんのよ!」
「座ってでもできるだろ?うちに住むならちゃんと働いてもらうからな」
え、いるかさん、労働することになってるし…いいのか?
「で、優くんの仕事っつーのはなんだ?」
「あ、コンビニです」
「まじかよ。まじで金とかねーじゃーん」
「失礼しちゃう!私、前はドーナツ屋の店長だったんだからお金ならあるもんねーだ」
「なんだ、お前金あるんじゃん」
冷静なお兄さんだな…って、
「嘘つきな妹だなぁ、ねぇ優くん?」
しまった、さっき金ないって言ったのに…やべー!
「今はそんなにないって意味よ!いちいちうるさい!」
「はいはい。お前は暇だったわけな?」
図星なのかいるかさんは言い返せないでいた。お兄さんはただのわけのわからない人ではなさそうだ。
「いいじゃない。せっかく家族そろったんだし、仲良くしようね?」
奥さんは、優しいなぁ。すると、カウンター下に手をのばし、なにやらカチカチと音を立ててる。
「ええと、申し訳ないんだけど家賃はこのくらい…もらってもいいかな?」
…電卓を見せられた。まぁ、うちの家賃よりは少ないけど…え?
「ごめんね、うちそんなお金なくて。いるかちゃんが働いてくれたら助かるなぁ」
なんてことだ。奥さん、いやここの家恐ろしい!
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