第43話

「で?店の場所は?家はどこにあるわけ?」


「なん?店と家は合体してんだぞ?すごいだろ?でな、内装にもこだわっててだなぁ…」


「あっそー」


「興味ないのか?」


「ない」


「がっかりだ。あ、お前の夫にまだ挨拶してないけど、いるかの家はどこなんだ?」


「うち来られても困るし、私が後で連れてくから。それに、久々に奥さんにも会いたいな」


「うんうん。まーやも喜ぶぞ!」


「で?家はどこなわけ?」


「おお、これこれ。見ろ、名刺の裏に地図載せてんだ。すごいだろ?」


兄から名刺をもらって、少しいらっとした。私、今名刺とかないし!今度、絵里ちゃんに頼んで作ってもらうんだから!


「えー、ここだとうちからはちょっと遠いんですけど」


「じゃあ俺が行くぞ?」


「いいって言ったじゃん。私が行くから。夕方頃には行けるかも」


「わかった」


「そんで?今なにしてたの?」


「散歩だぞ?」


「仕事してないじゃん」


「まーやと交代でやってます」


「暇じゃん」


「暇ではないぞ。なんだ?いるかも店やりたくなったか?」


「なんでそーなんのよ」


久しぶりに会った兄だけど、変わらず自分のペースでやりたい放題。時間帯微妙だし、しょうがなく一旦家に帰り、優の帰宅を待った。


「ただいま~。はぁ~疲…」


「おかえり。はい、今から出かけるよ」


優には悪いけど、急がなくちゃ。


「い、いずこへ?」


「私の兄の家に」


「え、兄?いるかさんの?行方不明の?」


「そーその兄」


「えーー行方不明じゃないじゃん」


「さっさと着替えてよね!」


「どんな人?怖い?」


「そんなのどーでもいいからさっさとしてよね?ここからちょっと歩くから」


「どーでもいいわけなくない?夫これとかまじありえねーとか言われたりしたらどーすんの?」


「うだうだ言わないでさっさとしてよ!」


夕方の約束に間に合わないじゃないの!

約束は守りたいもの。兄のぐーたらペースになりたくないし!

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