第40話

小田美香おだみか視点


まさか、なんで。

女優の道を諦めて、ドーナツ屋店長まっしぐらのできる女、いるかさんだったんじゃなかったの?男にいつも重いって言われてると自分で言ってたじゃない。


なのに!


諦めてた舞台女優になっちゃうは、結婚しちゃうは…しまいには子供?どうしてこうなったの?私は高校時代に学校でも人気のある男子と付き合ってた。そのときのいるかさんは今と変わらず、男に苦労してた。だから私は絶対いるかさんより先に幸せになれると思ってた。なのに、彼とは別れてしまい…それからはなんの出会いもない。いるかさんと私の人生は少し間違えてるのじゃない?

本来なら、女優で結婚してて子供もいて、もう幸せいっぱい!なはずなのに。どうして先を越されちゃうのよ…。


演技だけは…

絶対に負けたくない!



おしまい。




以原安菜いはらあんな視点


「いるかさんって、私とあんまり変わらないのね」


「え?」


「年齢です」


「ま、まじですか!」


「でも…いいなぁ、いるかさん。イケメンのダーリンがいたなんて」


さっき楽屋にやって来たいるかさんの夫。むちゃくちゃ若い。肌の質感違うし。それに、ものすごい身長高い!きっとなにかの選手!


「え、ダーリン?いやいや、そんないいもんじゃないですよ~ 全然イケメンじゃないし!」


「羨ましいわ。私にも若い子を紹介してほしい…」


「それは…演技ですか?」


「本気ですよ」


私はすぐ空想の世界に羽ばたいてしまう。だって、常にいろんな役をやってたほうがすぐに入れるもの。


「いい男いないの?若い奴。まぁ最低高校生でもいいのよ?」


「あ、安菜、さん?」


「やっぱー、顔がイケてないとだめだからぁーそこんとこはちゃんとしてよねぇー」


「い?」


はぁ。どこかにいないかな?イケメンで私にぞっこんな男…。


「私、根暗だから無理かしら…」


「え?どういう意味ですか?」


「いるかさん、私、性格をなんとかしないといけないわね」


「…え、えっと」


人をすぐ困らせるのよね。これをなんとかしないと!


おしまい。

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