第38話

柊まりこ視点


「お疲れ様。裏方さん」


「はぁ、どうも」


このやる気のない人物は、私の弟となった亮介くんである。疲れた顔で自宅に帰ってきた。劇団員で、舞台裏でいろいろやってる人らしい。地方公演には連れて行かれないくらいあまり使えないやつなの?今日の舞台もちゃんといたのだろうか?


「絵里ちゃんかわいかったねぇ。演技うまいね」


「それはそうですよ。絵里は舞台女優なんだから」


そう言いながら机に置いてあったおせんべいを食べたした。


「ねー仲悪いの?そうなの?」


「別に悪くないです。ただ、絵里がなんでか無視するんです」


「まじ?なんで?」


「さぁ?」


「なんかしたんじゃないのー?浮気とかぁ?」


「ありえない」


この言い方。まるで亮伍だわ。うける!そういうとこ似てる。


「じゃあさー、普通にさー好きじゃなくなったんじゃね?」


「え、まさか…ありえない。俺は絵里一筋なのに」


「あ、そう」


こいつ、うざいな…。自己中じゃーん。


「またうちに絵里ちゃん連れてきてよー」


「連れて来たくても話すらしてくれないんで」


「かわいそ」


「絵里は忙しいだけですよ。きっと」


ポジティブすぎ!どうなってんのよこいつー!うける。

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